日経エンタテインメント!

小室哲哉の曲は50万円で落札

山口哲一 1964年生まれ。音楽プロデューサー/エンターテックエバンジェリストとして著書多数。起業家育成と新規事業創出を行う「Studio ENTRE」代表。大阪音大特任教授。作曲家養成講座「山口ゼミ」主宰

特典として、楽曲の使用権を付けたのが小室哲哉さん。こちらは、購入者のYouTubeなどの動画で楽曲を使うことを認め、収益化してもOKです。11月に開催された「イノフェス2021」で即興制作した音源をNFT化したんですが、最高額で50万円の値が付きました。小室さんはNFTの可能性に興味を持たれていて、今後活躍するアーティストのために、新しいマネタイズの手法や、ファンとのエンゲージメントの築き方のチュートリアル役になれればと、参加してくれました。

――「.mura」はこの先、どのような使われ方をしていくとお考えですか?

例えば、アーティストがデモテープの段階で出品し、いい曲と思ったコモンズオーナーが入札に参加する「プロセスエコノミー」的なやり方もあるのかなと思います。アーティストはそれでレコーディング費用を賄うことができ、コモンズオーナーは原盤権の収益の権利を得られる。これまでレコード会社が行ってきたことを、個人がある種、パトロン的に支援できるイメージですね。

今後参加するアーティストも既に決まっており、第1弾はクラムボン、浅田祐介、林ゆうきの3組、間もなく第2弾も発表予定です。春頃には購入した楽曲を転売できるセカンダリーマーケットも開始予定。ただ、あくまでもアーティストファーストのエコシステムに寄与することが目的なので、投機が1番の目的になることはないと思います。「アーティストが持続可能な音楽活動を行えるために何ができるか」をテーマに掲げ、サービスを展開していくつもりです。

スズキの視点

NFTと音楽、アートを組み合わせた次世代のエンターテックのエコシステムは、2020年前半から急速に拡大。グローバルの最先端アーティストの間では、なかば“当たり前”になった感さえあります。私も、アーティストやメタバースと連携したエンタメ×NFTの販売を通じて、特に日本発世界という文脈で大きな手応えを感じています。「.mura」はアーティストをサポートするための哲学がしっかりしており、今後立ち上がるプラットフォームはそこがないと続かないでしょう。クリエーターエコノミーのサイクルが日本でも加速することを期待します。

鈴木貴歩
 ParadeAll代表取締役。“エンターテック”というビジョンを掲げ、エンタテインメントとテクノロジーの幸せな結びつきを加速させる、エンターテック・アクセラレーター。エンタテインメントやテクノロジー領域のコンサルティング、メディア運営、カンファレンス主催、海外展開支援などを行っている。

(構成:中桐基善)

[日経エンタテインメント! 2022年2月号の記事を再構成]