湘南で人気のスーパー 大手メーカーも引き寄せる魅力

日経クロストレンド

神奈川の湘南エリアを中心に、「スズキヤ」などの12店舗のローカルスーパーマーケットを展開するスズキヤ会長の中村洋子氏。地域密着を標榜するその思いと背景は
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セブン&アイ・ホールディングス傘下の「ヨークマート」やディスカウントスーパー「オーケー」といった大手があるにもかかわらず、開店と同時に多くの地元客がこぞって訪れる人気スーパーが神奈川県の湘南エリアにある。スーパーマーケットの「スズキヤ」だ。

スーパーの「スズキヤ」などを展開するスズキヤ(神奈川県逗子市)は、1902年に現在の会長である中村洋子氏の祖父が神奈川・逗子で創業。食料品や雑貨、燃料などを販売していたが、57年にはスーパーマーケット業態にたどり付く。現在では、湘南エリアを中心に神奈川県内で12店舗のスーパーマーケットを展開するのに加え、雑貨専門店なども出店している。

開店する午前9時前から地元住民が並んで待っている姿も。写真はJR逗子駅から約50秒の立地にある逗子駅前店

スズキヤが地元民に人気を集める理由は、大きく2つある。1つが、「独自性のある品ぞろえ」だ。

店を訪れると、一般的なスーパーとは品ぞろえがかなり異なることに驚く。「商品の価格帯は高めだが、他店に絶対に負けない良いものを販売しているという自負がある」(中村氏)。その自信に裏打ちされた商品を、消費者に自信を持って売る。

例えば魚は、逗子市内にある小坪漁港をはじめ、三浦半島の漁港から水揚げされたばかりのものが並ぶ。明らかに新鮮さが違う。開店と同時に新鮮な魚がぎっしりと並ぶ鮮魚コーナーは、朝から多くの客が訪れ、手を伸ばしていく。鎌倉のイタリアンレストラン「ラッテリア ベベ カマクラ」のモッツァレラチーズなど、地元の人気食材を多く販売する他、スズキヤでしか買えないオリジナル商品も随所に並ぶ。

地元漁港で水揚げされた新鮮な魚が毎日並ぶ
地元農家の野菜もずらり

オリジナルの弁当・総菜でヒットを連発

圧巻なのは、総菜や弁当の多様さとオリジナリティーの高さだ。多くのファンがいる、スズキヤの代名詞といってもいい。

総菜や弁当類は圧巻の品ぞろえ

全国スーパーマーケット協会の「お弁当・お惣菜大賞」では、9年連続で同社の商品が入賞するほどの実力を誇る。中でも、2020年にのり弁当部門の最優秀賞を受賞した「鮭と彩り野菜の茶々のり弁」は、多い日には500個を販売する大ヒット商品。昆布茶を混ぜたごはんの上に手でちぎったのりをのせ、塩鮭、ちくわの磯辺揚げ、卵焼きなどのおかずをのせたのり弁は、女性やシニアにもちょうどいい量だ。さらに、お吸い物が付いていて、途中でお茶漬けにできるというアイデアも利いている。

多様な弁当が並ぶ。写真中央が「鮭と彩り野菜の茶々のり弁」
全国スーパーマーケット協会の「お弁当・お惣菜大賞」で受賞を連発

現在、会長を務める中村氏は、さまざまな企業に勤めた後、1984年に同社に戻り、88年に41歳で社長に就任した。実は、中村氏がスズキヤに入社したときから重要視し、最初に担当したのが総菜部門だったのだ。「食材を無駄なく活用するのはスーパーマーケットにとって大切にしたい部分。それに加えて、食べ方を提案することで、お客様の食生活を豊かにしたり、意識を変えたりできる。そういうことを40年以上ずっと考えている」(中村氏)だけあって、現在は総菜や弁当だけで約400種類を販売している。

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大手メーカーも地元企業もこぞってコラボをするわけ