日経ナショナル ジオグラフィック社

2022/2/11

最も危機的な状況にあるキタキリンは、中央アフリカから西アフリカにかけての地域と、ウガンダ、ケニアの一部に孤立した状態で生息している。今回の研究では、キタキリンの数は5900頭以上と推定され、15年の4780頭から大きく増加した。

フェネシー氏によると、ニジェール、チャド、ウガンダの保護区など、それまでキリンがいなかった場所に移動させる取り組みが功を奏している。たとえば15年には、15頭のキリンをウガンダのムブロ湖国立公園に移動させた。その後、キリンの数は37頭に増えているという。

キタキリンの次に数が少ないアミメキリンは、主にケニア北部に生息する。推定個体数は1万6000頭弱で、15年の約2倍だ。ただし、ブラウン氏によれば、これはデータの精度向上による部分が大きく、実際に生息数が大幅に増加したわけではない可能性が高い。

タンザニアとケニア南部に多いマサイキリンの個体数は4万5000頭と推定され、7年前と比べると、44%増加している。最も数が多いミナミキリンは、ナミビア、ボツワナ、南アフリカなどに生息する。数は約4万8000頭で、15年とほぼ同数だ。

南スーダンなど、データが十分でない場所もある。この地域では内紛が続いているため、密猟が増えていると考える人が多い。エチオピアやソマリアの個体数も不確かだ。また、中央アフリカ共和国のキタキリンやジンバブエのミナミキリンのように、個体数が減少している場所もある。

不安と希望

種の保全条項を評価している国際自然保護連合(IUCN)は、今のところキリンを1種(9亜種)と分類しており、キリン全体の絶滅危機の評価は危急種(vulnerable)としている。ただし、亜種ごとの評価では、キタキリンの2亜種を近絶滅種(critically endangered)、マサイキリンとアミメキリンを絶滅危惧種(endangered)に分類している。

地域によっては、キリンの肉や毛皮、骨、尻尾を目的とした違法な狩猟が依然として大きな問題であり続けている。しかし、スミソニアン保全生物学研究所の研究員ジャレド・スタバック氏が特に懸念するのは、石油の掘削や道路の建設といった持続不可能な開発だ。「そのことを考えると、夜も眠れません」

一例として挙げられるのが、ウガンダのマーチソンフォールズ国立公園周辺で進められている石油や天然ガスの探査だ。この一帯には、近絶滅種であるキタキリンが多く暮らしていて、生息地が分断されたり環境が悪化したりする恐れがある。

一方で、政府や住民、研究者、自然保護団体が力を合わせてキリンを保護している地域では、個体数増加の兆しが見えはじめている。

「よい条件が整えば、キリンの数は一気に回復する可能性があります」とブラウン氏は話す。「とにかく、チャンスを与えることが必要なのです」

(文 DOUGLAS MAIN、訳 鈴木和博、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2022年1月18日付]