「実は、1カ月という長期の合宿の中では、一度は甘えてしまう部分って出るのが普通なんです。『自分はこんなアーティストになりたい』という目標を見失って『今は落ちたくない』ということに意識が行ってしまったり、他人と比較して『自分は落ちないだろう』という安心材料を探してしまったり。ただ、それをやると、自分の成長が止まっちゃうんです。それぞれの成長曲線だけではなく、デビュー後の心の持ちように関わってくる。
一旦デビューしてしまうと、不安や迷い、焦りは今の比ではありません。明確なアーティシズムは、コンパスのようなもの。自分がどんなアーティストであるかの指針やスタンス、アティチュードが備わっていないと、不安や迷い、焦りをさらに感じてしまうことになります。
同時期に国内外の様々なボーイズグループが活動することもあるでしょうし、同じスクールで切磋琢磨(せっさたくま)していた仲間がデビューするなどもあると思います。
『THE FIRST』から生まれたグループが思うようにいかないことも出てくる可能性はあります。本人も不安になるだろうし、心ない言葉をネットで目にすることもあるかもしれない。そういう雑念や邪念、自分から生まれるプレッシャーに対抗できるのは、自分自身にアーティストとしての指針があるかどうかだけなんです。
デビュー後にどうしても感じてしまう不安や迷い、焦りに対抗できるのは、自分自身にアーティストとしての指針があるかどうかだけ。そういう意味では、SOTAが1位だったのは象徴的で、追い詰められた状態からいきなり実力を発揮できるのは、彼自身の中にブレないアーティシズムがあるから。もちろん心の部分だけを評価しているわけではありません。でも、本番になると力が入りすぎてリハーサル以上の実力が発揮できない人が少なくないなか、その地肩の強さは目を引きました」
次回は「擬似プロ審査」の順位について気になったことを聞いていく。

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(ライター 横田直子)