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翠の原材料。8種のボタニカル成分に、ゆず、緑茶、しょうがの和素材を使用した

サントリースピリッツの神田秀樹社長は「瓶、業務用に加え、缶商品で『ジンソーダ』が当たり前となるような世界にしたい。三位一体(瓶、業務用、缶)の販促形態は、サントリーが一番得意とする勝ちパターンであり、より幅広い新規ユーザーを獲得していく」と自信をのぞかせる。手軽に買える缶商品で間口を広げ、飲食店での注文や量の多い瓶の購入につなげていく作戦だ。

20年3月からの短期間で、翠は国産ジンの代表格に躍り出た。調査会社インテージの調査結果を基にサントリーが推計したデータでは、21年における2000円未満の国産ジンカテゴリーで、翠は国内シェアの7割弱を占めた。21年の翠の販売状況は、瓶の販売本数が前年比236%、飲食店の取扱店舗数は同146%、小売店では同320%と大きく伸長した(サントリー調べ)。

翠が好調な理由として、神田氏は大きく2つを挙げた。

1つ目は「翠ジンソーダが食中酒として浸透したこと」だ。ジンといえば、甘苦いトニックウォーターで割るのが主流で、バーで飲むイメージが強い。しかし、翠をソーダで割ることにより、さっぱりした味わいに和素材のアクセントが効いた、食事に合うカクテルとして提案。控えめな味付けからこってりした油物まで、幅広い料理の味に調和すると、バーだけでなく居酒屋や家庭でも飲用されるようになった。

2つ目は「CMシリーズの放映」だ。CMシリーズでは、翠が居酒屋料理に合うことを伝える内容に仕上げている。女優の桜井ユキとお笑いトリオ・東京03の角田晃広が、居酒屋、自宅、スーパーとあらゆるシーンで会話を繰り広げる。

このCMシリーズで視聴者にインパクトを与えたのが、「それはまだ、流行っていない。」というキャッチコピーだ。これまで放映してきたCMシリーズでも、最後にキャッチコピーのセリフとテロップを流した。桜井が家庭や居酒屋でジンのソーダ割りを飲む光景を見せ、「これからジンの新しい飲み方がはやる」というメッセージを伝えた。

翠ジンソーダ缶でも引き続き、食中酒としての提案を行い、3月下旬から新しいCMシリーズを放映する。「ハイボール、レモンサワーに次ぐ、第3のソーダ割りとして新カテゴリーを創造する。新たなお酒文化を広げていきたい」と神田氏。販売目標は150万ケース(1ケース6リットル換算)と、角ハイボール缶の初年度目標と同じ強気の数字を掲げた。22年の注力商品として売り出していく。

(ライター 佐藤隼秀、写真提供 サントリースピリッツ)

[日経クロストレンド 2022年2月18日の記事を再構成]

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