マス広告の後れをインパクトで挽回

これまでUQモバイルのイメージ形成に貢献してきた「三姉妹シリーズ」のCMでは、カラフルさやポップさを強調しつつ、出演者の動きを少なくすることによって視聴者の注意を引いた。「マス広告で他社に後れをとっていた分、認知度を上げるため他社にない魅力を打ち出そうと、ビューティー感やグラフィックを意識した不思議な家族をテーマにした」と合沢氏。

深田恭子、多部未華子、永野芽郁の三姉妹は狙い通り大きなインパクトを与え、UQモバイルの認知度は他社に引けをとらないレベルにまで達した。次に課題となったのが、前述の通り付加価値をいかにシンプルに伝えるかという点だ。

今回、CMが与える印象に重厚感を盛り込んだのは、「信頼感」を持たせるのが狙い。そこで重くなりすぎず、現代に存在する宮殿の「今っぽさ」も伝えられるキャラクターとして満島を起用した。

「UQUEENは国民の声を聞いていないようで聞いており、自分が国民の声を代弁し、良いサービスを伝えていくという強い決意を抱いている。メッセージを明確に力強く、しかし威圧感はなくキュートさや憧れられる存在感を出したかった。満島さんはそのキャラクターにピッタリで、彼女以外は考えられなかった」(合沢氏)

力強さとキュートさを兼ね備えたキャラクター

リーダーらしいリーダーを演じる満島に対し、その参謀役に求められるのは「何を聞いても動じない鋼の心の持ち主」だと合沢氏。そこでひょうひょうとした表情が持ち味の松田を執事役に起用した。2人はドラマ「カルテット」での共演経験もあってか、CMでは余裕ある演技や間の取り方で、絶妙なコンビネーションを発揮している。

印象的な映像と演出が相まって、既にUQUEENは視聴者に影響を及ぼし始めたようだ。「2作目の最後に出てくる『リスクを冒さないことこそ、最大のリスクだ』と言うせりふに、執事同様、社内でもグサッと突き刺さる人が続出した」と合沢氏。さらに視聴者からも「社会的なメッセージ性を感じる」「CMが流れるたび手を止めて見とれてしまう」「満島ひかりさんが言うと説得力がある」「うちの上層部に聞かせたい」といった反響が届いているとのこと。三姉妹に続き、UQUEENに「やられる人」が続出するかもしれない。

UQUEENの決めぜりふに執事同様、グサッと突き刺さる人が続出するかも

(ライター 北川聖恵、写真提供 KDDI)

[日経クロストレンド 2021年9月24日の記事を再構成]

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