UQモバイルCM、「三姉妹」を一新 満島&松田なぜ起用売れるCMキャラクター探偵団

UQモバイルの新CMに起用された満島ひかりと松田龍平
日経クロストレンド

中世風の衣装を着た満島ひかりが、某王国の女王「UQUEEN」にふんするKDDIの「UQモバイル」の新CM。執事役の松田龍平とともに作り出す映像は、以前の「三姉妹シリーズ」と比べて重厚さがある。格安スマートフォンのマス広告としては後発だったが、既に認知は獲得できたと判断。次のフェーズへ移行したことで、思い切った「キャラ変更」を決行した。

シンプルさをズバッと伝える

現代の日本のどこかにあるといわれている宮殿「UQ殿」。そこでは満島ふんする女王の「UQUEEN」が君臨し、UQに関するさまざまな決裁を執り行う。水色とピンク色の「UQカラー」の王冠を頭に乗せ、ドレスを身にまとったUQUEENが鏡に映ると、自身のナレーションとともに松田ふんする執事が現れる。「UQ」ときらびやかにデコレーションされたケースを付けたスマホを手にUQUEENと執事がホールへ。

招集された民が迎える中、玉座に座り何かを発表する様子のUQUEENは「ドラムロール」と執事に指示を出す。「ドュルルルルルル……」「ダダンッ」と自分の声でドラムロールの音を発する執事。「これからのスマホはすべて、この私が決める」と、スマホを掲げながら威勢よく発表したUQUEENは、「反対意見のある人は、足の指を挙げてくださーい」「はい!いないようなので、決定でーす」と強引に採決。そんなUQUEENを見つめながら、「世の中変えるのは、案外こういう人かもな」と心の中でつぶやく執事――。

UQモバイルの新CMシリーズが伝える新たなブランドスローガンは「シンプルを、みんなに」。そこに「誰にとっても明快で、煩わしさのない、ユニバーサルな品質のサービスを届け続けるという思いを込めている」とKDDI宣伝部メディア・クリエイティブ企画室長の合沢智子氏は言う。

具体的にはどのような意味なのか。UQUEENの「登場」篇で新シリーズの幕開けを印象付けた2021年9月1日の翌日、すぐさま全国で放映された第2弾の「懇願」篇でその一端が明かされる。「UQUEENは、リスクを好む」とのナレーションの後に、彼女は執事の反対を尻目に家族全員のスマホ代を月々990円(税込み、以下同)にするという「新料金プラン」を発表すると言い張る。

これは9月2日に開始した新しい割引サービス「自宅セット割」のこと。同日に受け付けをスタートした「くりこしプラン +5G」にプラン変更し、同時にauが提供するインターネットサービスもしくは電力供給サービス「auでんき」または「UQでんき」に加入すれば、1契約につきUQモバイルを使用する家族10回線まで、データ容量が最小の3ギガバイトなら1人当たりの最低月額料金が1628円から990円に、25ギガバイトなら3828円から2970円に割り引かれる。

21年6月に同額の「でんきセット割」を開始していたが、インターネットサービスも対象に加えて「自宅セット割」にまとめ、インターネットコースとでんきコースの2コースに分けた。格安スマホでは、ワイモバイルが21年2月に同額の家族割引サービスプランを開始している。また、楽天モバイルは使用データに合わせて段階的に料金が上がるワンプランで、20ギガを超過すれば3278円で無制限にデータを使えるなど、各社とも価格争いでは拮抗している。

だが、競争相手は格安スマホだけではない。NTTドコモの「ahamo(アハモ)」やKDDI(au)の「povo(ポヴォ)」など、大手携帯電話会社がそれぞれ格安料金プランの提供を始めたことで、格安スマホ陣営は料金以外の付加価値をいかにアピールするかが、生き残りの鍵になっている。合沢氏はUQUEENシリーズへのリニューアルについて「安さだけではなく、プラスアルファのベネフィットをシンプルに伝えるフレームが必要になった」と語る。

具体的なベネフィットとして合沢氏は、「au回線を使用しているため通信品質が高い。サポートも充実しており、20年10月にKDDIと経営統合したことで、KDDIのカスタマーセンターがUQモバイルも担当するようになった。これらの信頼感がUQモバイルの強み」と説明する。

こうした付加価値をシンプルに伝えなければならない背景にあるのは、ユーザー特性の変化だ。例えばauユーザーは動画サブスクリプション(定額課金)付帯など豊富なサービス展開を求めているが、UQモバイルユーザーは「合理的で納得感のあるサービスで選んでいる」と合沢氏。さらに、これまで格安スマホは料金プランを詳しく調べるような情報感度の高いユーザーが多かったが、「市場に浸透した結果、多様な人たちが使い始めている」(合沢氏)。だからこそサービス内容やその付加価値が誰にでも分かりやすく伝わるような、新たなアプローチが必要になった。

UQUEENシリーズでは付加価値をシンプルに伝える
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