日経クロステック

嫌いな会社の情報を集めるのは苦痛

筆者は、このトレーニングを5日間連続で実施することもあります。そこで見えてくるのは、その人の会社への愛着によっても出来栄えに差があることです。

自分の会社が嫌いな人は、自分の会社の情報を集めようという気になりません。それが5日間連続となると苦痛でたまりません。自社の情報を持っていないので、顧客に伝えることも当然できません。

情報を集めたとしても、本心から思っていないことを5日間話し続けるのも苦痛です。気持ちと言動が不一致になるので、居心地の悪さが続きます。

ただし一方的に話すトレーニングを続けていると、自分の中でふに落ちる部分が少しずつ出てくることがあります。それを整理して伝えられるようになると、今の会社で働いている意義に気づき、自信を持てるようになります。

逆に、トレーニングを続けて違和感が大きくなる一方であれば、その会社や業種に向いていない可能性もあります。自分が本心から評価できない商品を自信を持って薦めるのは難しいでしょうし、顧客に「一生のお付き合い」などと話すのも苦痛でしょう。別の道を探してみるのも一つの方法です。

天笠 淳(あまがさ・あつし)
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。

[日経 xTECH 2022年3月24日付の記事を再構成]