複雑怪奇な規格と仕様のUSB Type-C(タイプC)を理解する連載の3回目。今回は最新のデータ通信規格「Thunderbolt 4」を巡る謎を解き明かしていこう。
Q:USB4とThunderbolt 4は同じ?
パソコンのスペック表でType-C端子の欄に「USB4/Thunderbolt 4」と記載されていることがある(図1)。これを見て、「同じ規格で2つの異なる名称がある」と安易に考えるのは誤り。実はUSB4とThunderbolt 4はまったく別の規格であり、データ通信の信号も異なる。

誤解しやすいのは、どちらの規格も同じType-C端子を使うから(図2)。1つのType-C端子がUSB4とThunderbolt 4を兼ねており、接続する機器に応じて規格が自動的に切り替わる。Type-Cで一番ややこしく、勘違いしやすい点がここだ。

Thunderboltはアップルとインテルが2011年に発表したデータ通信規格。当初はMac(アップルのパソコン)に搭載されていたが、Thunderbolt 3からはWindows機にも搭載されるようになった。さらにThunderbolt 4はUSBの規格に準拠して開発され、USBとの互換性が向上した。
USB4 Gen 2×2と同3×2、Thunderbolt 4の違いを図3にまとめた。最大転送速度は後2者が40Gbpsで同等だが、映像出力や最大ケーブル長ではThunderbolt 4に軍配が上がる。内蔵用インターフェースのPCIeでAI用のグラフィックスボード(eGPU)などを接続できるのもThunderbolt 4の強みだ。

両規格は端子の形状も同じなら、使用するケーブルも基本的に同じ(図4)。Thunderbolt 4に対応するケーブルはUSB4でも使えることが多い(ただし一部例外もある)。

