日経クロステック

会社を辞めて配偶者の転勤についていくというケースもありますが、配偶者の転勤が多い場合、そのたびに転職しなくてはならなくなります。その可能性も考慮に入れたほうがよいでしょう。

さらに収入について考えると、たとえ二重生活になったとしても、お互いの収入でそれぞれが生活することのリスクと、どちらかが会社を辞めて1人だけの収入で生活することのリスクでは、どちらが大きいでしょうか。筆者は、収入は2人ともあったほうがよいと考えます。ひとまずそれぞれの場所で生活を維持して、一定のタイミングで一緒に住むかどうかを検討するのも1つの方法でしょう。

また筆者の感覚ですが、こうした質問をしてくる人には、現職の勤務環境がとても良い傾向があります。人間関係も、キャリア形成の面でも恵まれている人が多いのです。現在の環境が良いからこそ、「辞めなくてはならないのか」と悩むわけです。これを捨てて、また同じ環境が得られるとは限りません。ですからしっかり考えて、悩んだときには現状維持から始めてはどうかと筆者はアドバイスしています。

2人の関係にとって一緒に過ごすのがよいかといえば、そうとも限らないとも感じています。筆者の周りには、自分の夢をかなえるために中学・高校時代から親元を離れて生活していた学生がたくさんいましたが、親と同居している人と親子関係は変わらない印象があります。逆に普段一緒にいないぶん、親への感謝の念が強いケースもあります。

「一緒にいるのが幸せ、必ず一緒にいるべきだ」という思い込みから離れて、自分の仕事やキャリア、収入について冷静に考えてみることをお勧めします。

天笠 淳(あまがさ・あつし)
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。

[日経 xTECH 2021年12月23日付の記事を再構成]