4000万年前の昆虫も 顕微鏡が写す魅惑的なミクロの世界

ナショナルジオグラフィック日本版

琥珀(こはく)の中に残された4000万年前のハエ、カの仲間。まるで飛んでいるようだ。太古の昔、北欧のバルト海地域で木の樹脂に包まれたまま固まってしまった不運な昆虫を、写真家のリボン・ビス氏が撮影した(LEVON BISS)

今から4000万年前、不運にも木の樹脂に閉じ込められ、そのまま固まってしまった蚊の仲間。現代の顕微鏡で撮影してみると、はるかな時間を飛び越えてきたのかと思うほど、生き生きとした姿がよみがえった。

極小の世界の美を垣間見させてくれる、年に1度の「ニコン・スモールワールド顕微鏡写真コンテスト」。47回目を迎えた2021年は、88カ国から1900点の応募があった。

同コンテストには、最新の撮影技術を駆使した作品が集まる。1590年にオランダの眼鏡職人ハンス・ヤンセンとサハリアス・ヤンセンの父子が最初の顕微鏡を製作して以来、それにまつわる道具や技術は飛躍的な進歩を遂げてきた。

21年の受賞作品はすべて、ニコン・スモールワールドのウェブサイトで見られるが、ここでは、米ナショナル ジオグラフィックのフォトエディター、トッド・ジェームズ氏が全受賞作品の中から選んだ、想像力をかきたててくれる写真をよりすぐって紹介しよう。

海の生きものかと思いきや、この物体はトウジンビエという植物の根の断面。英ノッティンガム大学のディラン・ジョーンズ氏は、レーザーアブレーション技術を用いてこの画像を撮影した。レーザー光を当てて根の表面にある物質を放出させることで、植物の内部構造を露出させられる(DYLAN JONES)

「私にとってこのコンテストの素晴らしさは、だれが受賞したかということよりも、自然はあらゆるスケールにおいて奇跡的なものだということを思い出させてくれる点にあります」とジェームズ氏は言う。

金とブロンズから造られた彫刻のように見えるのは、チョウの翅と鱗粉。このチョウは美しく青い翅で知られるモルフォチョウの一種ディディウスモルフォ(Morpho didius)。鱗粉に刻まれた微細な構造が、入ってくる光のうち一部の波長だけを反射することで、人間の目にはメタリックな青に見える。フランス人写真家のセバスチャン・マロ氏が撮影した。対物レンズの倍率は20倍(SÉBASTIEN MALO)

次ページ以降でも、ジェームズ氏が選んだ作品の数々を、たっぷりご覧いただこう。

ナショジオメルマガ