SKY-HI 彼の才能伸ばす自信がある、それが選んだ理由
連載 SKY-HI「Be myself, for ourselves」(24)
11月3日にメジャーデビューを果たした7人組のボーイズグループ「BE:FIRST」。前々回の「SKY-HI BE:FIRSTに彼がいる心強さは尋常じゃない」、前回の「SKY-HI 壁を突破した彼、間違ってなかった最初の印象」に続き、『日経エンタテインメント!』2021年10月号に掲載したSKY-HIのインタビューのノーカット版3回目は、JUNON、RYOKI、LEOを取り上げる。[「BE:FIRST」や「THE FIRST」についてはこちら]
最終審査からほぼ10日後にインタビューを行った。そのため、SKY-HIは「まだ自分の会社(BMSG)所属のアーティストというより、自分が開催したオーディションを受けてくれた方っていう感覚があるから難しいなあ」と言いながらも、彼らの成長と魅力を率直に話した。
JUNON―苦手分野でも気後れしないポジティブ思考
「最終審査の結果発表でも本人に言ったけど、本当に『間に合ってくれてありがとう』が一番大きいですね。JUNONに関しては、ボーカルは合宿中に言ったように、今すぐデビューしても歌がうまい部類に間違いなく入る力がありました。でも、未経験のダンスが、今年デビューするグループに間に合うのか。そこが一番の問題でした。
ただ、彼の最大の強みは『気後れしない』ことなんです。僕がJUNONの立場だったらきっとダンスができる他のメンバーに対して気後れしているでしょうね。JUNONのその部分は本当に尊敬しますし、彼らを導く立場からしてもありがたかったです。
年齢も上のほうで、でも自分だけうまく踊れない。その時に『申し訳ない』という気持ちを持ってしまうと実力も伸びないんです。JUNONはその気後れがなかったので、僕もダンス、ダンスと言い続けました。
あと、例えばですが、見ている人に『ちょっとダンスが足りないね』と言われることがあっても、『いや、俺これからダンス一番うまくなるし』という強い心のスタンスを持てるメンバーなんじゃないかと思っています。実際に驚くほどダンスの実力が伸びて、だから7人の中に入れられたわけですけどね。本当に彼に対しては感謝の気持ちが大きいです」
RYOKI―音楽性の成長で確信した才能の伸びしろ
「『THE FIRST』の期間でいろいろな出来事があったのですが、怪我(けが)の功名か、心が丸くなったことが一番大きいかもしれないですね。僕自身、その時点の立場としては、オーディションをプロデュースし、彼らの育成は手掛けていたけれども、まだ彼と契約をしているわけではない。
だから、言いたいことがあってもなるべく温度感を保ち……でも、本人も相当悩んだんじゃないでしょうか。見守ることしかできない部分も多く、心配でしたが、最後の合宿では顔の表情も柔らかくなり、性格的にもずいぶん変わったなと感じました。
2次審査から『なんてラッパー向きの人なんだ!』と感じていました。声のアタックの強さ(アクセント)や、発声を一定の位置にする感じ、さらに自分であえて作ろうとするエッジ(声帯を閉じた状態での発声)の強さ、特性の濃さ、2小節あればグッと前に出られてしまう我の強さ……。これはグループにラッパーとして1人いるとすげえ強いなと思いました。
ただ、本人には『ラップもいいね』とは伝えたものの、本人が自主的にラップをもっとやりたいというまで、ラッパー向きだということは黙っていて、ラップをやっている姿を見ては、『あ! やってる!』と喜んでいた感じでした。本格的に特性を磨こうと取り組んだのは彼自身がラップをやりたいと言って聴かせてもくれた、『Move On』くらいからでしたね。
今は彼自身の音楽性が育っていってるところなので、音楽をする人間として、僕は彼の才能を伸ばす自信はすごくありますね。それが7人に入れた大きな理由です。
本人は最終審査の発表で、名前を呼ばれないんじゃないかと思ってたんじゃないかな。RYOKIはもし呼ばれそうな可能性があったら、選ばれたときのコメントも非常にそつなく話せると思うんですよ。でも、あの時、たぶん驚いたからか彼の心のうちがそのまま出たコメントになった。
あれは僕、うれしかったですよ。ちょっと支離滅裂になってしまっているところはありましたが、逆に整理もついていない心の中を見せてもらったような、彼の覚悟が本心から伝わった時間でした。彼はもともと非常にシンプルな人でもあるので……そしてそこも魅力のひとつですが。
最初の頃はRYOKIに対して強くツッコミができるのはSOTAくらいでしたが、今では最年少のRYUHEIもツッコんでますね。いい仲間関係が構築されているんじゃないかな(笑)」
LEO―努力で壁を乗り越えた美しい心と感覚の持ち主
「LEOはダンスや歌、考え方の面など、一番多く明確に課題があったメンバーでした。同時に、オーディション中に一番悩んだメンバーだったんじゃないかな。でも、与えられたたくさんの課題に一つひとつ向き合っていったんだと思います。それができるのは、彼に相当な思考力と心の強さの両方が伴っているから。そしてそれが一番の才能です。
特に歌では、染み付いてしまっていた不必要な癖が問題でした。発声のバリエーションのない状態で、あの年齢(当時22歳)で癖がついていると直せるか分からなかったし。
6月くらいの合宿で『僕、ずっとSKY-HIさんやりょんりょん先生(佐藤涼子氏)に言われてたことが分かった気がするんですよ。こうですよね?』と伝えてきて、その時くらいから一気に化けはじめて、ついに本当に最後の最後の合宿で間に合ってくれました。ギリギリのタイミングでものすごい飛躍的に改善してきたので僕らもLEOをとても褒めたし、LEOは褒められたことで自信がついたのでしょうね。
そこから自己肯定感が増し、さらに良くなって最終審査当日を迎えたわけです。本当によく努力して乗り越えたなとうれしく思います。合宿中盤まで、LEOのことは褒めた回数こそ多くなかったけど、励まし続けてはいました。それを力に変えられるのは、LEOの心や感覚がきれいだからですね。今もたくさん褒めているんですが、ひょっとしたら本人は褒められているのでなく、励ましだと思っているかもしれません(笑)」
1986年12月12日生まれ、千葉県出身。ラッパー、トラックメイカー、プロデューサーなど、幅広く活動する。2005年AAAのメンバーとしてデビュー。同時期からSKY-HIとしてソロ活動を開始。20年にBMSGを設立し、代表取締役CEOに就任。9月1日から『Dive To World feat. Takuya Yamanaka(THE ORAL CIGARETTES)』配信中。10月27日にリリースした、約3年ぶりのオリジナル・アルバム『八面六臂(はちめんろっぴ)』には、「THE FIRST」に参加し、現在BMSGに所属するAile The ShotaやRUI、REIKOらをフィーチャリングした楽曲も収録している。
【過去の記事一覧と「BE:FIRST」についてはこちら】
(ライター 横田直子)
[日経エンタテインメント! 2021年10月号の記事を再構成]
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