RYUHEI―信頼できる仲間を得た突出した才能の持ち主
「RYUHEIに関しては、『THE FIRST』のスタート時点で持った印象の延長線上に今がある感じかな。ただ『横に広げられる』ようになったのは、本当に良かったですね。
彼は、自分がパフォーマンスすることに関しては天才的でした。でも、グループで表現する場合、普段からメンバーに感覚や感情を言語で共有することが必要です。それでないと、ステージ上で何を考えているか、横の人が感じることができませんから。RYUHEIがグループのメンバーとしてやっていけるのかは、そこに大きな課題がありました。
合宿の最後の課題曲『To The First』くらいから、自分の感情や感覚を表現するだけでなく、その感情や感覚を横に共有するパフォーマンスができるようになっていきました。『To The First』は、本当にいいチームでした。実はこの審査の前まで、RYUHEIがいるチームは常に負けていて、RYUHEIだけ評価が高いということが続いていたんです。ある種、突出した才能を持つスターが背負ってしまう宿命だったりもするんですけど……。
この世界では、突出した個性は、周りに理解されずに出る杭(くい)のように打たれるか、引っこ抜かれるかになってしまう。僕は理解されずに打たれ続けてきたけど、RYUHEIもそうなってしまう可能性も低くないなという気がちょっとしていました。だって、どこにいてもたぶん浮いちゃうから。そういう意味でも、『THE FIRST』での合宿を通して、またこれからBE:FIRSTのメンバーとしても、本当にいい仲間たちに巡り合わせることができて、まずは心の底から良かったなと思います。
ただ、本質的に世の中の見え方や人が話したことの聞こえ方の感覚が研ぎ澄まされているから、他の人との感覚のズレに悩むことはこれからもあるかもしれない。何かに悩んだその時に、僕が彼にとって“話しやすい人”として存在できるようになっている必要があると思っています。僕がこの先もアーティスト、社長、プロデューサーとしてリスペクトを向けてもらえるように努力を続ける必要があるんです」

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(ライター 横田直子)
[日経エンタテインメント! 2021年10月号の記事を再構成]