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韓国発の動画配信サービス 人気俳優が手掛ける作品も

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NIKKEI STYLE

日経エンタテインメント!

BTSに代表されるK-POP、米アカデミー賞作品賞の『パラサイト 半地下の家族』など映画で全世界を席巻する韓国エンタテインメント。昨年後半には、配信ドラマシリーズ『イカゲーム』が世界的に大ヒットした。それに続く注目すべき動きが"韓国発"の動画配信サービスだ。

昨年12月に韓国の大手エンタテインメント企業「CJ ENM」から2020年に独立した動画配信サービスで、映画『SOBOK/ソボク』を制作する「TVING」(ティビン)が、日本と台湾への進出を発表したことが話題となった。こうしたグローバル展開の先陣を切ったのが、20年9月に日本でサービスを開始した、"映画好きのための月額動画配信サービス"として存在感を強めている「WATCHA(ウォッチャ)」だ。

韓国発のIT企業Watcha, Inc.が運営するWATCHAは、新作やオリジナルのほか『ラ・ラ・ランド』『最強のふたり』といった繰り返し見たい名作や、日本初配信の独占韓国映画『BLEAK NIGHT 番人』や『パーフェクト・ゲーム』など、他ではなかなか見られない貴重な作品を配信している。またユーザーがこれまで鑑賞した作品の評価・レビューを記録したり、ユーザーの評価情報を分析し、好みに合った作品をお薦めするサービス、WATCHA PEDIA(ウォッチャ・ぺディア)との連携によるパーソナライゼーションも特徴だ。

昨年12月には同サービス初のオリジナルショートフィルムプロジェクト『UNFRAMED/アンフレームド』の4つの短編映画が配信となった。俳優として活躍する4人のアーティストが監督・脚本を手掛ける本企画。そのうちの1人で、プロデューサーを務めるイ・ジェフンが共同経営する韓国の制作会社「HARDCUT」と、WATCHAがタッグを組み実現した。

『アンフレームド』が意味するのは、「フレームから脱する」こと。自由なスタイルでクリエーティビティーを追求し、映像作品の新しい形、あり方を模索した短編映画は、同サービスの映画ファンにとって満足度が高いクオリティーに仕上がっている。

「子どもの頃から映画が大好きで、親しみを持って育った」というイ・ジェフン。本企画には、同じく映画への情熱を共有する俳優仲間が集まっている。そんな思いを受け止め、イ・ジェフンらが目指す"映画の多様性"を実現できるパートナーがWATCHAだった。「どのプラットフォームで配信すべきかと具体的に考えたときに、映画の多様性という意味でWATCHAが良いのではないかと。それで1度お会いしてみたところ、この企画を面白いと喜んでくださって。意外にもどんどん話が進みました」(イ・ジェフン、以下同)

作品に関しては「一切制約はなく、誰がどんなテーマで、何を撮っても自由だった」と言う。4つの映画は、24分から40分と尺に幅がある。当初の想定より長くなった作品もあるが、「WATCHAは企画の内容を十分に理解した上でアーティストを尊重し、サポートしてくれた」と言い、同サービスへの信頼は厚い。

「今後は劇場映画や放送なども含めて、企画に合った形で様々な作品を手掛けていきたいです。でも次に動画配信サービスにふさわしい、こういった企画があったら、まずはWATCHAと話をしてみたいと僕自身は思っています」

WATCHAの後には、米国進出を視野に入れたグローバル市場への展開が話題のTVINGも控える。そんな韓国発の動画配信サービスの動向に注視したい。

『ブルーハピネス』
イ・ジェフンが監督・脚本を手掛けた人間ドラマ。就活生の若者が、ままならない現実に葛藤する。『D.P. -脱走兵追跡官-』のチョン・ヘインほか若手俳優が共演
現場で演出をするイ・ジェフン。「完成した作品が予想以上に多くの方の関心を集めており、夢がかなった気持ち。うれしいです」
イ・ジェフン
 1984年生まれ。韓国・ソウル出身の俳優、プロデューサー、映画監督。韓国芸術総合学校演劇院を卒業後、2007年に俳優デビュー。映画『BLEAK NIGHT 番人』で青龍映画賞ほかで新人賞を受賞。映画『高地戦』『建築学概論』やドラマ『シグナル』など実力派俳優として多くの作品に出演。3人で共同経営する制作会社「HARDCUT」で、様々な企画に携わっている。

(ライター 今祥枝)

[日経エンタテインメント! 2022年3月号の記事を再構成]

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