日経クロストレンド

10万枚のランナーで会場を装飾

消費者の認知向上のため、「リサイクルの日」に当たる21年10月20日からは「ガンダムR(リサイクル)作戦」と名付けた施策も集中的に展開した。全国31カ所のイベント会場で、リサイクル材を使用したガンプラ(通称『エコプラ』)を無料で配布し、参加者にはその場でガンプラを組み立てて、ランナーを回収ボックスに入れてもらう。エコプラに実際に触れるとともに、プラモデルの入手、組み立て、ランナー回収というリサイクルの一連の流れを体験してもらうのが狙いだ。

ガンダムR作戦では、1カ月間で約1トン、すべてをリサイクル材として活用した場合、エコプラ約1万個に相当するランナーを回収した。

アミューズメント施設に置いたランナー回収ボックス。写真は「ガンダムR作戦 FINAL 2021」会場に設置されていたもの
「ガンダムR作戦」の会場では、来場者に「エコプラ 1/144 RX-78-2 ガンダム 組み立て体験会Ver.」を無料配布。会場内には組み立てスペースがあり、組み立て後に不要になったランナーをその場で回収する一連のリサイクルを体験できた

最終日となる21年11月20、21日には、東京・新宿住友ビルの三角広場で、集大成となるイベント「ガンダム R 作戦 FINAL 2021」も開催。メディアアーティストの落合陽一氏の手による茶室「可塑庵(ぷらあん)」、村松亮太郎氏が率いるネイキッド(東京・渋谷)が手がけた「NAKED FLOWERS(ネイキッドフラワーズ)」といったインスタレーションを展示したほか、全国から寄せられた10万枚のランナーで会場を装飾した。

また、このイベントでは、ガンプラのリサイクルやエコに対する取り組みを学べる展示なども実施。来場者には「エコプラ 1/144 RX-78-2 ガンダム 組み立て体験会Ver.」を無料配布。その場で組み立てられる体験ゾーンやランナーを入れる回収ボックスも設置するなど、同プロジェクトを体現する内容となった。バンダイナムコグループによると、2日間の会期中にも300キログラムのランナーを回収したという。

メディアアーティストの落合陽一氏の「可塑庵(ぷらあん)」。中国から赤、青、黄、白を使った陶磁器が日本に伝わり、茶褐色の茶器へとして発展していった流れは、ガンプラが暗褐色のエコプラとして生まれ変わる流れに通じると発想。11月19日のメディア向けのオープニングセレモニーでは中で茶をたてるパフォーマンスも
ネイキッドのインスタレーション展示「NAKED FLOWERS」を同社の山王堂史恵氏(右)が解説。ガンプラのランナーで造形された花園でスマホアプリ「NAKEDINCPLAY!」を通すと、AR(拡張現実)で3DCGの花が咲き乱れる景色に変化する。オリジナルのアロマも香る
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ケミカルリサイクルの実証実験も