K-POP最旬グループは「ズズズ」 共通する2つの戦略
男性ダンス&ボーカルグループ最新事情 K-POP編(1)
もはや、K-POPというジャンルを超えて、世界的なトップアーティストとなったBTS。彼らがアメリカで足場を固めるなか、"次世代"への注目がさらに高まっている。書籍『K-POPはなぜ世界を熱くするのか』の著者・田中絵里菜氏は、「今、最も勢いがあるのは"ズズズ"の3組」と断言する。
"ズズズ"とは、THE BOYZ、Stray Kids、ATEEZ(エイティーズ)の3組。共に4月から6月まで、6組のボーイズグループがパフォーマンスでバトルを繰り広げる番組『KINGDOM:LEGENDARY WAR』(日本ではABEMAで放送)に出演し、爆発的に人気を伸ばしている。例えば、8月23日に2ndフルアルバム『NOEASY』をリリースしたStray Kidsは、今作で前作(20年)の3倍以上に上る93万枚の予約注文数を記録した。
3組ともBTSの後に続く「第4世代」。田中氏によると、第4世代には前の世代とは異なる特徴があるという。
「この世代はBTSという成功事例があるので、それにならった施策を最初から手掛けています。1つ目がストーリーテリング。BTSはアルバムも3部作としてリリースし、MVにも一貫した世界観を設けており、それが欧米のファンを熱狂させる一因になっていました。ズズズの3組に関しても、作品に同様のストーリーテリングが見て取れます。2つ目がSNSの活用です。Twitterの更新頻度は1日7~10投稿は当たり前。さらにYouTubeではMVやパフォーマンス動画だけでなく、メンバーのパーソナリティーが伝わるオリジナルバラエティ番組やリアリティー番組を配信するなど、とにかく供給量が膨大なうえに、常に新しいコンテンツを出し続けている印象があります」(田中氏、以下同)
Twitter社とK‐POP Raderの共同調査によると、第3世代の1日あたりの平均ツイート数は3.5だが、第4世代は7ツイート。また、第4世代は公式デビュー前に平均323回ツイートしている。
クリエーティブ力も必須に
第4世代以前のグループはアジアツアー、ワールドツアーと段階を踏んで人気を拡大していったが、K-POPファンの裾野が広がった今、デビューと同時に世界で人気を獲得するのは当たり前で、デビューして1年未満でワールドツアーに出ることも珍しくなくなった。「韓国国内よりもむしろグローバルで人気、というケースも少なくありません」
「また、メンバー全員が何らかのクリエーティブに携わっていることも、この世代に多く見られます。以前はプロデュースや作詞・作曲に携わるメンバーがいたとしても、限られた一部でした。各事務所のトレーニング方法の進化が背景にあるのでしょう」
第4世代にはズズズのほかにもTOMORROW X TOGETHERやENHYPEN、TREASUREら将来性の高いグループがひしめいている。果たして頂点を極めるのはどのグループか。すでに激しい戦いが始まっている。
(ライター 横田直子)
[日経エンタテインメント! 2021年10月号の記事を再構成]
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