2021/10/11

8月にAP通信・公共問題調査センター(NORC)が実施した世論調査では、米国人の半数以上が雇用者によるワクチン義務化を支持していたが、CNBCがその後に行った世論調査では、ワクチン未接種の回答者の87%が、雇用者から義務付けられても新型コロナワクチンを接種しないと答えた。

人々がどのように感じているかを知り、政策の指針とする上で「世論調査は非常に重要です」と米フィラデルフィア小児病院ワクチン教育センターの客員研究員でワクチン政策の専門家であるアンジェラ・シェン氏は言う。とはいえ、ワクチンを接種しないという選択がもたらす結果に直面すれば、同じ判断に人々が固執するとは限らないとシェン氏は付け加える。「人々が強制されるのを好まないことはわかっていますが、従ってくれれば義務化は非常に効果的な手段です」

今回の義務化についてバイデン政権は、検査を毎週受けるならワクチンを接種しないことを従業員に認める。このように選択の自由があるため、「私たちがワクチン接種義務と呼んでいるものは、基本的にはワクチン接種免除を伴う検査プログラムにすぎません」と米メリーランド大学ボルティモアカウンティー校の公共政策学准教授ゾーイ・マクラーレン氏は指摘する。そのような措置であっても、感染を広める前に患者を把握することで、感染拡大を抑制することができると氏は言う。

もちろん、定期的に検査を受けることよりも、転職や退職を選ぶ人も出るだろう。マクラーレン氏は、「人手不足になるところも出てくるかもしれません」としながらも、その影響は限定的だろうと付け加える。

先週までは、ワクチン接種を受けたくない人は、接種義務のある会社を辞めて、義務のない会社に転職することができた。

しかし、バイデン政権の新たな感染対策は「全米で一律」に適用されるため、「ワクチンを接種したくない人が仕事を見つけるのはかなり難しくなります」とマクラーレン氏は言う。

なお、今回の義務化からは、定年退職者、失業者、専業主婦(夫)、従業員100人未満の企業で働く人など、多くの人が除外されている。

しかし、義務化に効果があるなら、みんなが恩恵を受けられるはずだとマクラーレン氏は言う。「ワクチンは、接種した人を守るだけではなく、周りの人も守ります。義務化の対象にならない人も、接種率の向上による波及効果で恩恵を受けることができます」

(文 JILLIAN KRAMER、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年9月17日付]

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