史上最多の1306本の脚を持つヤスデ 地下60mで発見

2022/1/15
ナショナルジオグラフィック日本版

この新種のヤスデは体幅約1ミリ、体長約10センチと糸のように細長く、多数の脚を操って地中を移動する(PHOTOGRAPH COURTESY OF MAREK ET AL. 2021)

オーストラリアで史上最多、1306本の脚をもつ新種のヤスデが発見され、2021年12月16日付の学術誌『Scientific Reports』に発表された。

研究チームはこのヤスデを、ギリシャ神話の女神で冥界の女王であるペルセポネーにちなんでエウミリペス・ペルセポネ(Eumillipes persephone)と名付けた。E・ペルセポネのすごさは、深さ60メートルと極端に深い地中で見つかったことだけではない。絶滅したものも含め、地球上のあらゆる動物の中で最多の脚をもっていることだ。

その脚の数は圧倒的だ。E・ペルセポネの最大の標本は体長10センチにも満たないメスであったが、これまで最多の脚をもつとされていたヤスデ「イラクメ・プレニペス(Illacme plenipes)」の750本を大幅に上回っている。

英語でヤスデは「ミリピード(millipede)」と言い、「1000本の脚」を意味するラテン語に由来している。1036本の脚をもつE・ペルセポネは世界初の正真正銘の「ミリピード」だ。

前例のない脚の数だが、可能性の限界には達していないかもしれない。「多くのヤスデは、最初は8本の脚しかありません。脱皮して新しい体節ができるたびに、脚の数が増えていくのです」と、研究チームを率いたバージニア工科大学のヤスデの専門家であるポール・マレク氏は言う。

「ですから、もっと多くの体節をもち、もっと多くの脚をもつ個体がどこかにいるかもしれません。想像するのは困難ですが」とマレク氏は語る。氏はナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでもある。

地中60メートルのトラップ

オーストラリア、マッコーリー大学のブルーノ・ブザット氏らの調査チームは20年、西オーストラリア州のゴールドフィールドという地域で、地中に生息するヤスデなどの動物を探索した。

この地域は金やニッケルが豊富に埋蔵されていることで知られており、鉱山会社は深い探査孔を掘ることで鉱脈を特定している。探査孔の直径は15センチ足らずだが、こうした場所に生息する小さな動物を捕らえるトラップを仕掛けるには十分な大きさである。

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