2022/1/14

超々寄生という珍しい例もある。たとえば、木に寄生する菌類に寄生する菌類に寄生する菌類などだ。ニュージーランドに生息するRhinotrichella globuliferaという菌類は、Hypomyces cf. aurantiusという菌類の死骸の一部を食べる。Hypomyces cf. aurantiusは、ブナの木に生えるFomes hemitephrusという別の菌類を食べる。

もっと寄生生物の保護を

「寄生生物は重要な役割を果たしているにもかかわらず、どういうわけか軽視されています」と言うのは、米ピッツバーグ大学で進化寄生生物学を研究しているジェシカ・スティーブンソン助教だ。

たとえば、寄生生物が保護プログラムの対象になることはほとんどないが、彼らはさまざまな意味で他の生物よりも大きな脅威にさらされている。特に影響が大きいのが気候変動だ。急激な地球温暖化による影響は直接的で、過去には何度か、大量絶滅の原因にもなっている。複数の生物が寄生する宿主が絶滅すれば、複数の寄生種が一度に絶滅しかねない。

2020年10月、クワック氏らは学術誌「Biological Conservation」の特別号に「世界的な寄生生物保護計画」を求める論文を発表した。論文には「寄生生物の超多様性を考えれば、絶滅にひんしている種の大半は寄生生物かもしれない」と記されるとともに、寄生生物を保護種の対象に加えるなど、いくつかの対策が示されている。

「私が調べているほぼすべての絶滅危惧種に寄生生物がいて、同じ危機に瀕しています。その多くが新種です」とクワック氏は話す。

たとえば、東南アジアのマレーセンザンコウには、Amblyomma javanenseというダニが寄生しており、どちらも絶滅の危機にひんしている。このダニを最初に記録したのがクワック氏のグループだった。また、同じく絶滅の危機にひんしているフクロモモンガダマシに寄生している、オーストラリアの希少な寄生虫(Stephanocircus domrowi)に「ゴブリンノミ」という一般名をつけたのもクワック氏だ。

なお、このような保護活動は、ギニア虫などの人間や家畜の寄生虫には適用されない。ギニア虫は根絶目前の寄生虫で、身体を衰弱させる疾患を引き起こし、感染した人の皮下から出てくる。

「そういったものを除けば、寄生生物は宿主にとって必ずしも有害ではありません」とクワック氏は言う。「いわば、長い進化の道のりにおける乗客です。健全で安定した生態系にとって不可欠な寄生生物には、保護するだけの価値があるのです」

(文 TROY FARAH、訳 鈴木和博、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年12月19日付]