【パート1(157分)】セッション1日目~7日目
 パート1で描かれるのは、トゥイッケナム・フィルム・スタジオでのセッション開始からジョージ・ハリスン離脱までの7日間(1月2日~10日)だ。
 セッション開始時点の計画は、18日までに新曲14曲を完成させ、それを19日と20日の2回にわたって観客の前でライブ・レコーディングし、そのパフォーマンスをテレビ特番として放送するというものだった。またリハーサルも撮影し、テレビ特番で使われることになっていた。
 そのためにビートルズは新年早々の2日にトゥイッケナム・フィルム・スタジオでセッションを開始する。
 だがメンバー4人の意思は統一されておらず、セッションが進むにつれメンバー間の意見の相違が顕在化。開始から7日目の10日にジョージが脱退を宣言して、スタジオを去ってしまう。12日にメンバー4人が集まって会合が持たれるが、結論は出ないままプロジェクトは暗礁に乗り上げてしまう。
【パート2(174分)】セッション8日目~16日目
 パート2では、ジョージが復帰し、セッション再開からアップル屋上でのライブが提案されるまで9日間(1月13日~25日)が描かれる。
 ジョージがいなくなった後、残されたメンバー3人で13日にセッションを再開するが、どこか投げやりで遅々として進まない。
 ようやく15日にジョージを交えた4人で話し合いがもたれ、テレビ特番は棚上げし、場所をアップル・スタジオに移し、新しいアルバムのレコーディングを計画どおりライブ形式で行うことで合意。ジョージが復帰することになり、20日にセッションを再開する。
 メンバー間の意見の相違はこの時期にもしばしば顕在化するが、目的が定まったことでセッションは見違えるようになり、ライブでの演奏曲、アルバム収録曲が次々と仕上げられていく。そしてアップル屋上でのライブを行うことが25日に提案され、そのための準備が開始される。ただ、メンバーの意思はまだ統一されないままだ。
【パート3(139分)】セッション17日目~22日目
 パート3で描かれるのは、ライブ録音の準備が急ピッチで進み、アップルの屋上とスタジオでライブが行われる6日間(1月26日~31日)だ。
 アルバムの録音と、いまだに実現が微妙な屋上ライブをめざし、リハーサルが急ピッチで進む。テレビ特番に未練を残すポール・マッカートニーを横目に、ジョン・レノンの決断で30日にアップル屋上でルーフトップ・コンサートを決行。翌31日にはアップル・スタジオで残りの曲をライブ録音。プロジェクトは幾多の危機を乗り越え成功裏に一段落する。
 この過程を収めた録音テープと映像から、二転三転しながら、最終的にはアルバム『レット・イット・ビー』、そして映画『レット・イット・ビー』(70年公開)が作られることになる(その過程は記事「映画『レット・イット・ビー』の誤解、新作への期待」を参照)。

以上がこのドキュメンタリー作品の大まかな流れだ。これを押さえておけば、心理劇のように複雑な人間模様を交えて展開するゲット・バック・セッションを、まるでタイムマシンに乗って、69年のスタジオに潜入したかのようなリアルさで、手に汗握りながら楽しむことができるはずだ。

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ビートルズ・サウンドの謎解きを楽しむ