岸田首相が5Gエリアの地方拡大に影響
ユーザーがより直接的に変化を感じるのは、22年に5Gのネットワークがかなり広い範囲で整備されることだろう。22年3月末までの各社の計画を見ると、4Gの周波数帯を5Gに転用してエリア拡大を急ぐKDDIとソフトバンクは5Gの人口カバー率90%を達成予定としている。高速大容量通信にこだわって5G向け周波数帯だけを活用するNTTドコモは、人口カバー率55%の達成を目指すとしている。
5Gのエリアは各社がサービスを開始した20年の段階では「点」でしかなかったが、すでに都市部では「面」に広がってきており、高速通信を体感しやすくなっている。22年は場所をあまり選ぶことなく、日常的に5Gの高速通信を体験できるだろう。

菅氏に代わって新たに就任した岸田文雄首相は、5Gエリア展開に関して大きな影響を与えそうだ。岸田首相は地方と都市部との差を縮めて地方活性化を推進する「デジタル田園都市国家構想」を掲げ、地方のデジタル実装に力を入れている。そこで、その基盤となる5Gネットワークの地方での整備を各社に迫ると考えられるからだ。
実際、総務省は5G用として22年4~5月ごろの割り当てを予定している2.3ギガヘルツ(GHz、ギガは10億)帯の免許審査に際して、5Gの整備が遅れている地方での基地局整備を審査項目に盛り込む案を提示した。22年は都市部だけでなく、地方でも5Gエリア整備が加速することを期待したい。

ただ22年も5Gのエリア整備が途上であることに違いはなく、「4G相当」となるにはまだ時間がかかる。5Gエリアの端でアンテナは立っているのに通信ができなくなる「パケ止まり」のような、整備途上で起きる問題が21年に続いて顕在化することが懸念される。