
2021年は携帯電話料金の大幅な引き下げが進んだ1年だった。NTTドコモの「ahamo(アハモ)」をはじめとする、お得感が高いオンライン専用プランが続々と登場した。さらに「UQ mobile」「ワイモバイル」といったサブブランドも、安価な新料金プランを次々と投入した。
5Gの「スタンドアローン運用」が転機に
22年は、こうした料金を巡る動きは一段落するだろう。携帯電話料金の引き下げに熱心だった菅義偉前首相が退任し、総務省と携帯電話業界に対する影響力が低下したからだ。一連の料金引き下げ施策は菅前首相の主導で進められたが、その影響で携帯電話事業者の業績は軒並み悪化した。菅前首相の影響力が低下したいま、各社が料金を引き下げる理由は乏しくなっている。
では22年に何が盛り上がるのだろうか。
今度こそ高速通信規格「5G」ではないかと筆者はみる。新型コロナウイルスの影響で東京五輪をはじめとする大規模イベントが軒並み中止・延期となり、アピール機会を失った日本の5Gだが、22年は5Gが一つの転機を迎える予定なのだ。
その転機とは、5Gの「スタンドアローン運用」への移行が本格化することだ。現在の5Gは、4Gのネットワークの中に5Gの基地局を設置する「ノンスタンドアローン運用」で、5Gの特徴のうち実現しているのは「高速大容量通信」だけだ。これに対して5G専用の機器のみを活用して5Gネットワークを提供するスタンドアローン運用では、高速大容量以外にも「低遅延」「多数同時接続」といった5Gの特徴を生かせる。

スタンドアローン運用への移行が進み5Gの本領が発揮されるようになれば、企業や自治体での5G活用が本格的に始まるだろう。スマートフォンだけでなく、自動運転やスマート工場、スマート農場など社会全体で5Gのモバイル通信活用が始まるはずだ。ドローン(無人機)やロボット、さらには「メタバース」で注目を集める仮想現実(VR)や拡張現実(AR)など、新しいデバイスの利用が広がり、我々の生活に未来感をもたらすのではないだろうか。
