日経クロストレンド

“ほぼ皆既月食”の撮影にも成功

最初に天体観測をした2021年11月10日は月齢5.2(満月の37.8%)と夜空が明るい日だったので、天気は良かったものの、100%満足できるような結果ではなかったようにも思えた。

撮影を行った2021年11月10日は月齢5.2(満月の37.8%)で夜空が明るかった

eVscope 2の貸出期間中に新月を迎えるチャンスはなかったが、その9日後の11月19日にはなんと“ほぼ皆既”の部分月食が見られるということで、撮影にチャレンジすることにした。

ほぼ皆既月食を迎えた2021年11月19日の空はあいにくの曇り空だった

16時27分頃(東京時間)に月が出てから、18時2分頃に食の最大を迎え、19時47分過ぎには部分月食が終了するという予定だったが、観測した奥多摩湖畔はあいにくの曇り空。しかし月が出ては雲に消え、出ては消えという感じなので撮影自体は成功した。

ほぼ皆既月食に近付いた月の写真。最も近付いた時間帯は雲で見えなくなってしまった

難しいのは露光の設定だった。Unistellarアプリでは、ライブビューモードの右上にあるアイコンをタップすると明るさを信号で増幅する「ゲイン」と、シャッタースピードで増幅する「露光時間」の設定が行える。自動にすると月の表面全体が映し出されるのだが、それだと“月食感”が思うように出ない。かといって、マニュアル設定で食(地球の影)を担っている部分を暗くするほうが写真として正解なのか、よく分からなくなってしまった。

ライブビューの設定画面
先ほどの月食のゲインや露光時間を調節し、より“月食感(?)”を出したもの

従って両方を保存しておくか、自分の好きな写真を追い求めればいいというのが正解だろう。何しろ刻一刻と月食の状況が変わっていくので、そもそもどのような設定が一番“美しい月食”になるのか、迷いに迷ってしまった。

そうやって設定のチューニングを追い込んでいく作業も、趣味の楽しさというものなのだろう。天体イベントには望遠鏡が向くケースと、向かないケースがあるが、望遠鏡が最適な状況であれば、このeVscope 2はかなり頼もしい味方になるだろう。

(文・写真 IT・家電ジャーナリスト 安蔵靖志)

[日経クロストレンド 2022年1月14日の記事を再構成]

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