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ぎりぎりで延命? 燃え尽きた「太陽」まわる惑星発見

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ナショナルジオグラフィック日本版

銀河系で最も幸運かもしれない惑星は、地球から約6500光年離れた、銀河系の中心に近いところに存在している。この巨大ガス惑星は、死にゆく主星の巻き添えになるのを辛うじて免れることができた。

2021年10月13日付で科学誌「ネイチャー」に発表された論文によると、この木星サイズの幸運な惑星は、小さな恒星の死骸の周りを回っている。この恒星は地球サイズの薄暗い白色矮星(わいせい)で、かつては太陽と同程度の大きさだった。恒星が老いると、高密度の白色矮星へと崩壊する前に、膨張して赤色巨星になるが、この過程で周りを公転する惑星を容易に破壊してしまう。

「この惑星は失われていても何の不思議もありませんでした」と、米カリフォルニア工科大学のジュリエット・ベッカー氏は話す。「おそらく、ぎりぎりで破壊を免れたのだと思います」。氏は今回の研究には関与していない。

もしこの惑星がもう少し主星の近くにあったら、焼き尽くされたり破砕されたりと悲惨な運命をたどっていたかもしれない。死にゆく太陽が膨れ上がって赤色巨星になったときに、いずれ地球にも同じような運命が降りかかる。

「今回報告した惑星系は、私たちが予想する太陽系の最終状態に非常によく似ています」と、論文の著者で米航空宇宙局(NASA)のゴダード宇宙飛行センターのデビッド・ベネット氏は語る。

それだけではない。この惑星系は、主星の激しい死の過程に直面した惑星がどのくらいの確率で生き残ることができるかを知るのにも役立つ。白色矮星の周りに無傷の惑星がごくふつうに存在していることが判明すれば、「私たちが考えている以上に多くの惑星が生き延びているのでしょう」と、米オハイオ州立大学の天文学者スコット・ガウディ氏は言う。

「そうなると、銀河系内の惑星の数は、これまで過小評価されていた可能性が高くなります」

輝いて燃え尽きるまで

恒星が年老いてくると、中心部の核融合炉に供給する水素が不足し、周囲の惑星にとって非常に危険な現象が起こる。それは、約50億年後の太陽系が直面するだろう次のような未来だ。

水素が足りなくなってきた太陽は徐々に膨れ上がって赤色巨星になるが、その過程で水星と金星をのみ込んで燃やしてしまう。地球は、焼き尽くされるのは免れても、ほぼ確実に太陽の重力で引き裂かれてしまうだろう。火星ぐらい遠くなれば、おそらく生き延びることができる。さらに外側の4つの巨大惑星は、小突き回されて、今よりも遠い軌道に入る可能性が高い。条件によっては、太陽系から完全に放り出されてしまったり、太陽に向かって突進させられたりするかもしれない。

「主星が進化していく過程で、惑星には本当に不思議なことがたくさん起こります」とベッカー氏は言う。「特に内側の軌道を回る惑星は、かなり激しい経験をすることになるでしょう」

赤色巨星になった太陽は、その約10億年後には白色矮星になる。地球ほどの体積に、元の太陽の半分くらいの質量が詰め込まれた高密度の天体だ。この過程も、近くの惑星に大きな影響を与える。たとえ4つの巨大惑星が生き延びたとしても、別の恒星が近くをすれ違ったときの重力の乱れにより、太陽系から永遠に放り出されてしまう可能性が高い。

灼熱地獄を生き抜く

天文学者たちは、惑星は主星の混沌とした死を生き延びることができると考えているが、実際に生き延びた惑星の例はあまり見つかっていない。今回の惑星系はMOA共同研究プロジェクトによって10年に最初に確認されたもので、主星の死骸である白色矮星と、主星の死を生き延びた惑星が、背景となる遠方の恒星の手前を横切ったときに、その重力が恒星の光を拡大してゆがませたことで発見された。ちなみにMOAは、「Microlensing Observations in Astrophysics(重力マイクロレンズを利用した天体物理学観測)」の略である。

マイクロレンズ効果を利用した観測により、これまでに約90個の惑星の存在が明らかになっており、その中には、主星から離れて銀河系内を単独でさまよう「自由浮遊惑星」も含まれている。

巨大惑星と白色矮星が背景の恒星の光を曲げる現象を詳細に調べたことで、この惑星系の天空での動き、恒星と惑星の存在、惑星の大きな公転軌道などの重要な特徴が明らかになった。2つの天体の相対質量も算出することができた。「MOA-2010-BLG-477Lb」と名付けられたこの惑星系に天文学者たちは興味をもったが、より詳細な研究が行われるまでには数年待たなければならなかった。

「マイクロレンズ現象が起きるときには前景の恒星と背景の恒星が重なり合っていなければならないため、どちらの恒星が前景にあるのか見分けるのが難しいのです」とベネット氏は説明する。「だから、2つの恒星が離れて見えるようになるのを待ったのです」

15年、ベネット氏たちは米ハワイのマウナケア山頂にある強力なケック-II 望遠鏡を使って、5年前に発見した惑星系を探そうとした。惑星系が5年間でどれだけ移動するかはわかっていたので、望遠鏡を目標に向けて暗闇に目を凝らしたが、探していた星らしきものは何もなく、別の方向に動いている別の星が見えただけだった。

彼らは16年と18年にも同じ観測を行ったが、いずれも空振りに終わった。しかし、歪んだ星の光を見て、惑星系がそこにあることは確信していた。それが見えないということは、彼らが求めていたものが、ケック望遠鏡でも発見できないほど暗い天体であることを意味する。

「太陽よりも質量がやや小さい暗い星であることはわかっていました。白色矮星は明らかにその候補でした」とベネット氏は言う。

さらにいくつかの計算を行った研究チームは、木星ほどの質量の惑星と太陽の約半分の質量をもつ白色矮星からなる惑星系であるという結論に達した。この惑星の公転軌道の大きさは地球の公転軌道の2.8倍以上あり、太陽系の小惑星帯とほぼ同じ位置にあるという。

「ここは巨大惑星が形成されると予想される場所です」とガウディ氏は言う。「太陽に似た恒星の進化の過程で、木星型の惑星は生き残れることが示されています」

この巨大惑星は、恒星の進化による致命的な結果を避けるのに最適な場所で成長し、生き延びていたのだ。どの場所が最適となるかは、死にゆく主星だけでなく、惑星自体の特徴や、ほかの惑星の動きにも左右される。

白色矮星の周りを回る惑星をさらに探す

これまでにも、白色矮星の周りを回る惑星の証拠は見つかっていたが、今回のようなものはなかった。19年には、国際的な天文学者チームが白色矮星の周りにガス状のデブリ(岩石や氷の破片)の環を発見している。これは砕け散った天体の成れの果てで、地球も同様の運命をたどると予想されている。ほかにもいくつかのデブリ円盤が確認されていて、これらも不運な惑星や小惑星の破片ではないかと考えられている。

昨年、NASAの系外惑星探索衛星TESSを用いた別の研究チームは、白色矮星の周りをわずか34時間で公転する惑星候補(巨大惑星)を発見した。この惑星は主星に非常に近いため、「主星が赤色巨星だった時期に同じ軌道にあったら、間違いなくのみ込まれていたはずです」とベッカー氏は言う。「つまり、主星が白色矮星になった後に、外側の軌道からこの軌道に移動してきたのです」

今回発見された惑星系や、これらの観測結果は、惑星の中には、主星の進化プロセスを(少なくとも一時的には)生き延びるものがあることを示している。しかし、惑星が生き残るのか、それとも破滅を迎えるのかを決定するプロセスは、まだ曖昧だ。

20年代半ばに打ち上げが予定されているNASAのナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡は、白色矮星の周りを回る惑星を数多く発見することができるだろう。また、白色矮星の周りを回る惑星の発見数が増えれば、主星の死によって惑星系の構造がどのように変化するかが明らかになり、私たちの太陽系の未来を見通せるようになるだろう。

ベネット氏は、今回発見された惑星系には、ほかの惑星もあるかもしれないと言う。地球は太陽の劇的な死を生き延びることはできないかもしれないが、もしかすると、ほかの惑星は生き延びて、太陽系は生まれ変わるかもしれない。

(文 NADIA DRAKE、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年10月15日付]

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