トヨタ新型アクア「キャラ変」 内装も走りも高級路線

新型アクアは全モデルがハイブリッド。エントリーグレードの「B」は198万円(税込み、以下同)から。写真は「Z」で、240万円

ハイブリッドコンパクトカーとして人気を集めてきたトヨタのアクアが2021年7月、初のフルモデルチェンジを果たした。11年の初代デビュー以来、実に10年ぶりの刷新となる新型アクアはどう進化したのか。自動車評論家の小沢コージ氏がリポートする。

順調な10年間の裏で起きていた変化

「アクアが今後どうなるか分かりませんよ(笑)」

数年前、トヨタ首脳陣に驚かされたことがあった。当時、ヒットを続けていたアクアがなくなる可能性をポロリと示唆したのだ。そもそもアクアは11年にデビューしたハイブリッド専用車で、13年から国内登録車販売で3年連続1位を獲得し、モデル末期の18年にも2位を獲得した超人気コンパクトカー。初代のグローバル累計販売は約187万台で、はた目には絶対に後継モデルが作られると思われていた。

ところが外から見る風景と中から見る風景は違うもの。アクアは順調に売れ続けていたが、時代は変わり始めていた。この10年間で「ハイブリッドの価値」が劇的に変わっていたのだ。

11年当時、アクアは「ミニプリウス」として登場した。ボディーをプリウスより小型化し、ハイブリッドシステムもプリウスの1.8Lエンジンベースではなく、1.5Lエンジンを使った、より高効率のユニットを開発。プリウスよりも手軽で安価な、ハイブリッド専用コンパクトとして登場した。実際、見た目はプリウスをより華奢(きゃしゃ)にした5ナンバーサイズのクルマだったし、価格は全グレード200万円以下。米国では「プリウスC」という名前で販売されていたのだ。

そんなハイブリッドコンパクトカーはおのずと人気爆発。長らく人気をほしいままにした。特に日本での高い人気は、「アクアというブランド」ができたと思えたほどだった。

高い位置に搭載された縦型のリヤコンビネーションランプの辺りに初代アクアの面影を残しながらも、より大人っぽい印象になった
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当時は「唯一無二」の存在だったが……