実際に、Wi-Fi 5(2ストリーム)とWi-Fi 4(2または1ストリーム)のインターネットの通信速度を計測してみた。パソコンをWi-Fiルーターのすぐ近くに置いたときはいずれも十分な通信速度を確保できた。しかし、約7メートル離れた部屋ではWi-Fi 4(1ストリーム)の通信速度が目立って低下した。この実験よりさらに通信環境が悪くなると、4K動画やビデオ会議で使うのは厳しい(図5)。

家庭内にある複数のパソコンでファイルをやり取りした実験でも差が出た。Wi-Fi 5と比べるとWi-Fi 4の通信速度は半分以下と、その差は歴然だった(図6)。

Wi-Fi 4のSU-MIMOは子機が増えると厳しい
Wi-Fi 4では多くの子機をつなげると、通信速度が低下する(図7)。Wi-Fi 4は「SU-MIMO」(エスユー・マイモ)にしか対応していないからだ。

MIMOとは複数のアンテナを使って通信をする技術のこと。SU-MIMOでは、複数のアンテナを使って1つの子機と同時通信し、高速化を図っている。しかし、複数の子機をつなげたとき、異なる機器との同時通信はできない。順番に通信するため、子機が増えると通信速度が低下する(図8)。

こうした実情を考えると、Wi-Fi 4はもはや「お役御免」と考えたほうがよさそうだ。
(ライター 岡野幸治)
[日経PC21 2022年1月号掲載記事を再構成]