高速光回線に潜む落とし穴 我が家の速度は大丈夫?
Wi-Fi&光回線 困りごと原因徹底究明(3)
今回からからは、Wi-Fiを遅くする3つの要因を個別に見ていこう。まずはネット回線から。
現在、ネット回線の主流は光回線だ。しかし、高速が売り物の光回線にもかかわらず、これが遅さの原因になっているケースがある(図1)。
まずは、そもそもの契約プランが遅い場合だ。光サービスは2000年代初頭に登場し、数年後にはギガビットクラスの高速サービスが登場した(図2)。しかし、サービスの普及には地域差があり、高速化が実現したのはこれよりずっと後になった地域も多い。また、早い時期に光サービスを導入したマンションには、今でも100メガビット/秒(Mbps、メガは100万)以下のサービスしか利用できない建物もある。戸建て、マンションの居住形態を問わず、まずは入会資料などに目を通し、自分の光サービスの回線速度を確認しておきたい。
ただし、各サービスが掲げるのは技術規格上の最大通信速度だ。実際の通信速度は自分で計測して確かめよう。まずは、通信速度が低下しやすいWi-Fiではなく、有線で計測する。ただし2ギガビット/秒(Gbps、ギガは10億)超の回線、Wi-Fi 6の環境では、ルーターの有線LANが1Gbpsの機種だとWi-Fi接続のほうが速いケースがある
LANケーブルでパソコンとWi-Fiルーターを接続し、速度計測サイトを使って調べる(図3、図4)。
実際に2つの家庭で測ったところ、どちらも最大通信速度の約8割だった(図5)。
既設のスイッチングハブが遅さの原因となることも
時間帯を変えて計測すると、速度がかなり違うことがある。これは回線の混み具合に差があるからだ。戸建てでもマンションでも1本の光ファイバーを複数の家庭で分け合っている。このため、回線の上流部分で渋滞が発生することがある(図6)。
また、1Gbps以上のサービスなのに、実測値が常に100Mbpsを下回っているなら、家庭内のLANケーブルやハブが足を引っ張っている可能性がある(図7)。
特に、マンションで高速な契約プランに乗り換えたのに速くならないときは、古いサービスの導入時に宅内に設置されたスイッチングハブの通信速度が遅い可能性がある(図8)。
古いマンションの最大100Mbpsのサービスでは、マンション共用部から各家庭への分配に、LANケーブルまたは電話線(VDSL方式)を使っている(図9)。LANケーブルでは実測で80M~90Mbpsのスピードが出るが、電話線はノイズに弱くもっと遅くなりがちだ。もし、別の契約プランやサービスが利用できるなら、そちらに乗り換えよう。
(ライター 岡野幸治)
[日経PC21 2022年1月号掲載記事を再構成]
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