家のネットが遅いなら 「回線・ルーター・子機」を疑え
Wi-Fi&光回線 困りごと原因徹底究明(2)
もはやWi-Fiなしの生活は考えられない。自宅でも職場でも、ノートパソコンやスマホがネットにつながっているのは当たり前。Wi-Fiは生活インフラの一つになった。それだけに、Wi-Fiの通信速度が遅いのはとても困る。仕事が滞ったり、せっかくの娯楽がストレスで台無しになったりする。自分のWi-Fiはなぜ遅いのか。前回に続いて、このパートでは、その原因を解明し、解決の道筋を示していこう。
Wi-Fiが遅いのは、(1)インターネット回線(2)Wi-Fiルーター(3)Wi-Fi子機のいずれかに原因があることが多い(図1)。
ネット回線では、契約プランの速度が遅いのが主な原因だ。10年以上前に契約したり、マンションに導入されているプランに加入したりしている場合は注意が必要だ。
一方、Wi-Fiルーターが抱えるのは、規格が古いという問題だ。Wi-Fiルーターは、パソコンのようにHDDやファンなどの駆動部分がなく故障しにくい。このため、10年以上同じ製品を使っている人も少なくないが、これがアキレス腱(けん)になる。いつの間にか、そのWi-Fiルーターは時代遅れになり、高速化したネット世界に置き去りにされてしまう。
パソコンが備えるWi-Fi子機も同様だ。古い規格の子機では、高速な通信は期待できない。さらに利用環境も大いに影響する。Wi-Fiルーターから離れたり障害物があったりすると、通信速度は一気に低下する。
家族それぞれ動画視聴するとパンク状態に
Wi-Fiが遅いと感じることが増えた根本的な原因は、ユーザーを取り巻く利用環境が変わったことだ。通信量の多い動画サービスが普及したり、親機に同時アクセスする子機の台数が増えたりと、家庭内のWi-Fiの通信負荷は増大する一方だ(図2)。
近年は、Netflix(ネットフリックス)、Hulu(フールー)などの動画配信サービスが人気だが、多くのサービスが高精細の4Kでも配信している。YouTube(ユーチューブ)も一部の動画は4Kでの視聴が可能だ。4K動画の視聴には20メガ~25メガビット/秒(Mbps、メガは100万)の通信速度が必要で、その水準を確保できないと自動的に画質が低下する。コロナ下で日常化したウェブ会議も10~30Mbpsの通信速度が必要だ。
さらに、最近は多くの家庭に複数台のパソコンや家族全員のスマホ、ゲーム機など、ネットに接続する機器がたくさんある。同時に通信するときは、各機器の必要量を合わせた通信速度を確保しなくてはならない(図3)。だからこそ、回線やWi-Fiルーター、Wi-Fi子機などを見直し、強化していく必要があるわけだ。
パソコンの通信状況をチェック
自宅のWi-Fiが全体でどのくらいの通信をしているかを把握するのは難しい。しかし、個別のパソコンについては、Windowsが備える「タスクマネージャー」を用いて、送信と受信のそれぞれでWi-Fiの通信速度を確認できる(図4)。
アプリごとの通信速度を知りたいときは、タスクマネージャーから「リソースモニター」を開けばよい。アプリごとに、送信、受信、合計の通信速度を確認できる(図5)。例えば、ウェブ会議が不安定なときは、ほかに通信しているアプリがないかを調べ、不要不急のものを停止させればよい。
これらのツールは直近60秒までの様子しかグラフに表示できないが、もっと長いスパンで調べたいときは、「GlassWire(グラスワイヤー)」というフリーソフトを使おう。このソフトはパソコンに常駐して通信を監視し、「月」「週」「24時間」などのスパンで通信状況をグラフ化できる(図6)。
(ライター 岡野幸治)
[日経PC21 2022年1月号掲載記事を再構成]
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