「火山を可能な限りコントロールしたいという思いで、ホピ族が溶岩流にトウモロコシをささげたのではないかと私たちは考えています」。エルソン氏は今回の研究に参加していない。

しかし、マヤの人々が火山灰を使用したのは「宗教的あるいは象徴的な意味があっただけでなく実用的、機能的な理由もありました」と市川氏は述べている。市川氏がエルサルバドル人の同僚から聞いた話によれば、イロパンゴが噴出した火山灰は圧縮性に優れるため、現在も建材として使われているという。

被災地を再興したのは、元からそこにいて噴火を生き残った住民かもしれないし、移住してきた人たちかもしれない。いずれにしろ、この建造物は宗教的な意味をもっていたかどうかにかかわらず、人々が共通の目的のために団結する一助になったはずだ。

「モニュメントを造るプロジェクトは共同作業でした。それは普通の生活に戻るための効果的な方法だったはずです」と市川氏。社会的なつながり、融合、結束を重んじることで、人々は壊滅的な災害さえも乗り越えることができる。

建設工事に従事した人数はまだわかっていない。市川氏の試算では、100人が年4カ月作業した場合、最低13年かかり、1500人に増えると11カ月で完成する。労働者は食料をどのように調達していたのか、統治者の命令で建設したのか、それとも宗教的なささげものだったかについて、さらなる調査が必要だという。

そもそもなぜ遠い昔の噴火を振り返るのだろう? 「災害の研究は、私たちが来るべき災害に対処する助けになります」とエルソン氏は説明する。

リース・テイラー氏は今回の研究について、ほとんど調査されてこなかった地域について重要な情報が追加されたと評価している。「この地域では定期的に噴火が起きていました。そこから復活するだけでなく、さらに大きく、良い方向へと再建する。その回復力には驚かされます」

(文 ERIN BLAKEMORE、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 日本版サイト 2021年10月9日付]

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