日経エンタテインメント!

2日目と3日目は福岡での講演でした。お話はけっこう前からいただいていて、ちょうど『ナイツ・テイル-騎士物語-』の福岡公演が11月13日から始まるので、それにタイミングをあわせて実現しました。

11月10日は福岡桜ライオンズクラブが主催する青少年健全育成チャリティコンサート『井上芳雄プレミアムナイト』と題して、ホテルオークラ福岡の会場に600人くらいのお客さまが来てくださいました。ミニコンサートをして、トークのコーナーがあって、最後にまた曲を歌って終わるという形でした。

僕は福岡の出身なので、一番受けたのはやはり地元ネタでしたね。「何を見て、福岡に帰ってきたと思いますか」と聞かれて、「イムズがなくなっているのにびっくりした」と答えると、みんな共感してくれました。今、福岡では「天神ビッグバン」というのが起こっていて、一番の繁華街である天神地区の老朽化したビルを一気に建て替える計画が進んでいます。それで地元にしかなかったイムズや天神コアというファッションビルが閉鎖されて、なくなっているんです。地元の人にしか分からない話ですけど、会場のみなさんとの共通のつながりを感じました。お客さまは福岡桜ライオンズクラブの方が中心なので、僕のことをよく知らなかった方も多かったと思うのですが、ミュージカルの曲をたくさん歌ったのと地元だったので、アットホームな雰囲気を感じた会でした。

保護者の前で話すのは全然違う

次の日の11月11日は母校での講演でした。僕は西南学院高校の卒業生なのですが、高校と中学校の保護者の方々、250人ほどの集まりで話をさせていただきました。キリスト教系の学校なのでチャペルがあり、そこで1時間ほど講演しました。

「夢をかける」という演題で、僕の子供時代から今までを振り返って、ミュージカル俳優になるという夢を持って、それをどうやってかなえて、かなえた後は今に至るまでどういう経験をしているのかということをテーマに話しました。少し話してはミュージカルの曲を歌い、また少し話して歌うのを繰り返すという、あまりない形の講演です。最後は校歌を大貫さんにおしゃれにアレンジしてもらって、それを歌いました。

母校なので、準備している間にも高校のときの先生たちが会いに来てくれて、「久しぶりやね」と言いながら、皆さんと写真を撮ったりしました。だからすごいホーム感はあったのですが、やはり保護者の方々の前に出るのは、ファンの人の前で話すのとは全然違います。ミュージカルが好きという人が多いわけでもないでしょうし、なにより話した内容が、自分が夢をかなえるために何をして、そのあとどんなことが起こったかに特化していたことも、経験したことのないシチュエーションでした。

僕の話が本当に参考になるかどうかは分かりませんが、僕も親の立場なので、保護者の仲間の1人として、親が知りたいと思うだろうことを話しました。自分は中学生や高校生のときに親に対してどう思っていたか、反抗期はどうで、社会に出てからどうだったかなどを率直に話しました。僕が若いころ、初舞台を踏んで社会に出たばかりのとき、周りの人からもインタビューでも「ご両親はどんな人なの」とよく聞かれました。当時は、すごく変な感じがして、「何で両親のことを聞くんだろう」と思ったのですが、今となってはやっぱり、社会に出たての子供というか若者に対して、どういう育ち方をしたのかが気になるのは、分からなくもありませんから。

講演の後には質疑応答があり、「うちの子はまだ夢がないんだけど、どうしたらいいか」という質問もありました。確かに夢を見つけるまでも大変だし、だから1つでも多くの可能性があるようなものに触れるだけでもいいだろうし、たとえ夢がかなわなかったとしても、それはそれで意味があることなんだと、普段から思っていることを答えました。

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