デスクトップ向けの下位がEコア非搭載の理由とは
デスクトップパソコン向け第12世代Coreのラインアップ(超省電力版を除く)は、図9の通りだ。

最大16コア24スレッドの「Core i9」を筆頭に、性能順に列挙すると「Core i7」「Core i5」「Core i3」「Pentium Gold」「Celeron」の6モデルをラインアップ。それぞれのモデルで、コア数や動作周波数の違う製品のほか、動作周波数を定格以上に上げることができるオーバークロック対応製品や、グラフィックス機能非搭載製品などを用意している。
注意したいのは、オーバークロック対応版を除くCore i5以下のモデルはPコアのみの搭載となる点。ノートパソコン向けほど省電力性が重要ではないデスクトップパソコン向けでPコアとEコアを搭載したのは、コア数を増やして性能を向上させながらも発熱を抑えることが主目的であったと考えられるが、6コア以下のCPUではその必要がないと判断されたのだと推測される。
なお、例えば16コア(Pコア:8、Eコア:8)のCore i9-12900Kのスレッド数が24となっているのは、Pコアは1コアで2スレッドの同時処理を可能とするハイパースレッディング対応だが、Eコアは非対応なためだ。
ノートPC向けも充実
ノートパソコン向けの第12世代Coreは、ハイエンドノート向けの「H」、高性能ノート向けの「P」、モバイルノート向けの「U」の3シリーズで展開される(図10、図11)。


HシリーズにはCore i9などの3モデルが、PシリーズにはCore i7などの3モデルが、UシリーズにはPentiumなどのローエンドモデルを含む5モデルがラインアップされている。ノートパソコン向けはデスクトップパソコン向けと異なり、全製品がPコアとEコアを搭載する。
2月上旬時点、ノートパソコン向けで詳細が明らかにされているのはHシリーズのみ(図12)。機能的に前世代と大きく違うのはDDR5メモリーをサポートする点。デスクトップパソコン向けと異なりPCIe 5.0はサポートしない。

インテルの発表資料によれば、Hシリーズの最上位であるCore i9-12900HKのピーク時の性能は、前世代の最上位やAMDのRyzen 9 5900HX、アップルのM1 Maxを大きく上回り、ゲーミング性能については前世代から最大28%向上しているという(図13、図14)。


第12世代Core搭載ノートパソコンについては、すでに多くのメーカーが、詳細は未定としつつも発売することを正式に表明している。高性能なゲーミングモデルから薄型、軽量のモバイルノートまでさまざまな製品が登場する予定だ。
(ライター 滝伸次)
[日経PC21 2022年4月号掲載記事を再構成]