日経PC21

デスクトップ向けの下位がEコア非搭載の理由とは

デスクトップパソコン向け第12世代Coreのラインアップ(超省電力版を除く)は、図9の通りだ。

図9 第12世代Coreのデスクトップパソコン向けCPUの主なラインアップ。コア数や動作周波数の違いのほか、定格の最高を上回る周波数で駆動させる「オーバークロック」対応の可否、内蔵GPU搭載の有無などの違いがある。Core i5以下のオーバークロック非対応モデルはPコアのみの搭載となる。Core i9-12900Kの上位モデルも近く登場する予定だ

最大16コア24スレッドの「Core i9」を筆頭に、性能順に列挙すると「Core i7」「Core i5」「Core i3」「Pentium Gold」「Celeron」の6モデルをラインアップ。それぞれのモデルで、コア数や動作周波数の違う製品のほか、動作周波数を定格以上に上げることができるオーバークロック対応製品や、グラフィックス機能非搭載製品などを用意している。

注意したいのは、オーバークロック対応版を除くCore i5以下のモデルはPコアのみの搭載となる点。ノートパソコン向けほど省電力性が重要ではないデスクトップパソコン向けでPコアとEコアを搭載したのは、コア数を増やして性能を向上させながらも発熱を抑えることが主目的であったと考えられるが、6コア以下のCPUではその必要がないと判断されたのだと推測される。

なお、例えば16コア(Pコア:8、Eコア:8)のCore i9-12900Kのスレッド数が24となっているのは、Pコアは1コアで2スレッドの同時処理を可能とするハイパースレッディング対応だが、Eコアは非対応なためだ。

ノートPC向けも充実

ノートパソコン向けの第12世代Coreは、ハイエンドノート向けの「H」、高性能ノート向けの「P」、モバイルノート向けの「U」の3シリーズで展開される(図10図11)。

図10 ノートパソコン向けの第12世代Coreは、ハイエンドでPBP(ベースクロックで動作する際の消費電力)が45ワットの「H」、高性能パソコン向けでPBPが28ワットの「P」、モバイルパソコン向けでPBPが15ワットまたは9ワットの「U」の3シリーズで展開される
図11 ノートパソコン向けの第12世代Core主なラインアップ。デスクトップパソコン向けと異なり全モデルがPコアとEコアを搭載する(資料:インテル)

HシリーズにはCore i9などの3モデルが、PシリーズにはCore i7などの3モデルが、UシリーズにはPentiumなどのローエンドモデルを含む5モデルがラインアップされている。ノートパソコン向けはデスクトップパソコン向けと異なり、全製品がPコアとEコアを搭載する。

2月上旬時点、ノートパソコン向けで詳細が明らかにされているのはHシリーズのみ(図12)。機能的に前世代と大きく違うのはDDR5メモリーをサポートする点。デスクトップパソコン向けと異なりPCIe 5.0はサポートしない。

図12 ノートパソコン用の第12世代Coreはクリエーターやゲーマー向けのHシリーズから出荷が始まった。機能的に前世代と異なるのはDDR5メモリーをサポートする点。デスクトップパソコン向けと異なりPCIe 5.0はサポートしない。Thunderbolt 4やWi-Fi 6などサポートするのは従来通り(資料:インテル)

インテルの発表資料によれば、Hシリーズの最上位であるCore i9-12900HKのピーク時の性能は、前世代の最上位やAMDのRyzen 9 5900HX、アップルのM1 Maxを大きく上回り、ゲーミング性能については前世代から最大28%向上しているという(図13図14)。

図13 第12世代Coreのノートパソコン向け最上位「Core i9-12900HK」のピーク時の性能は、第11世代の最上位「Core i9-11980HK」を大きく上回り、アップルの「M1 Max」およびAMDの「Ryzen 9 5900HX」をも大きく上回るという(資料:インテル)
図14 グラフは、第12世代のCore i9-12900HKと第11世代のCore i9-11980HKの性能を各種ゲームで比較したもの。ゲーミング性能は最大28%向上しているという(資料:インテル)

第12世代Core搭載ノートパソコンについては、すでに多くのメーカーが、詳細は未定としつつも発売することを正式に表明している。高性能なゲーミングモデルから薄型、軽量のモバイルノートまでさまざまな製品が登場する予定だ。

(ライター 滝伸次)

[日経PC21 2022年4月号掲載記事を再構成]