答えと解説

正解は、(2)両足の真上に重心がくるよう意識しながら上る です。

「テレワークが続いて運動不足だから、階段トレーニングで鍛えよう」。こう考えて階段を駆け上がってみたものの、ひどい息切れと足の付け根の痛みに見舞われ、1日でギブアップ、といった方もいるかもしれません。

昭和大学医学部整形外科の客員教授・平泉裕さんによると、股関節や膝周辺に痛みが出てしまうのは、燃費の悪い上り方をしている証し。いくら頑張っても、それでは意味がないのだそうです。多くの人は階段を使うこと自体が良い運動だと思っていますが、どうやら階段を使うだけではダメなようです。

平泉さんによると、股関節周辺が痛くなる人は、大抵重心がズレてしまっています。前かがみになって階段を上がっている可能性が高いそうです。通常、頭から足元まで体の中心を通る重心ラインがまっすぐに立っていることで、体は安定しています。ところが前傾姿勢になってしまうと、重心ラインが前方にシフトするので、頭と上半身を支えている股関節や膝関節周辺の筋肉への負担が増加。筋肉疲労によって痛みを引き起こしてしまうのです。

階段を上る際に、前のめりの姿勢になるのは良くないということです。では、どのような姿勢で階段を上ればいいのでしょうか。

「疲れずに燃費よく階段を使うには、体の軸である重心ラインをまっすぐに安定させて歩くのがコツ。このラインがブレると、余計なエネルギーを使うことになるのですぐに疲れます」と平泉さんは言います。

「重心ラインを安定させる」には、体の芯・体幹を意識してしっかりとさせることが重要です。そのためには、腹筋と背筋、殿筋(お尻の筋肉)と腸腰筋(腰椎から大腿骨を結ぶ筋肉)といった。拮抗しながら体幹を支える大きな筋肉・抗重力筋群をスムーズに動員することがポイントとなります。

「抗重力筋」とは文字通り、重力に抗う筋肉のこと。地球の重力に対して体の姿勢を支えるために機能しており、下腿(かたい)・太腿(ふともも)・腹部・胸部・首など体のあちこちに張り巡らされ、収縮をしながらバランスをとっています。この筋肉がしっかりと働かないと、体幹が崩れ肩コリや腰痛、疲れなど、不具合を感じやすくなるのです。

「簡単に言えば、階段昇降時には『バランスのとれた姿勢保持』が重要だということです。正しい姿勢で階段を使えば、自然に抗重力筋も体の芯『体幹』も鍛えられますよ」(平泉さん)

具体的には、常に両足の真上に体がくるように意識するのがポイント。「頭から足元まで体の真ん中を貫く重心ラインを倒さずに、常に真上に向くように意識しましょう。そのためには、頭も体も起こし、視線は足元ではなく前に向けると良いですね」(平泉さん)

姿勢を正し、体の芯もしっかりとさせ、身近な階段を有効活用して「コロナ太り」の悩みを解消しましょう。

(イラスト 平井さくら)
この記事は、「コロナ太り解消の秘策 『階段を上る』にもコツがある」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/18/072700016/021500027/(結城未来=健康ジャーナリスト)を基に作成しました。

[日経Gooday2021年9月6日付記事を再構成]

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