一般にはオーバースペックかも
今回レビューした上位モデルは、チップにM1 Ultraを採用している。従来の最上位「M1 Max」を2つ組み合わせることで倍の性能を実現したチップだ。もちろん、ただ単に2つのチップを並べても高い性能は発揮できない。わかりやすく言うと、アプリやOS(基本ソフト)からは2つのチップをくっつけたものが、1つのチップに見えるように工夫されている。
レビューしたモデルは20コアのCPUに、48コアのGPU(画像処理半導体)を搭載する。超高性能と話題になった、M1 Maxチップが10コアCPUに32コアのGPUであることを考えると、すごい数値である。とはいえ、コア数が多くても何がうれしいのかよくわからないだろう。参考までに動画や写真を編集してみたので、その数値を紹介しよう。
今回は、比較対象としてMacBook Pro(10コアCPU、16コアGPU)とRyzen 9 5900HX(8コア、Radeonグラフィックス)をテストした(すべて手元のストップウオッチの計測の参考値)。
(約4.53秒2.17ギガバイトの4K動画でテスト)
・Ryzen 9 5900HX 10分16秒
・MacBook Pro 2分30秒
・Mac Studio 1分17秒
・MacBook Pro 2分30秒
・Mac Studio 1分17秒
Windowsパソコン用では高速と評されるRyzen 9 5900HXと比べても、MacBook ProとMac Studioはいずれも驚異のパフォーマンスを発揮する。注目したいのはMacBook Proに比べてMac Studioはさらに半分の時間で処理が終わっていること。つまり、ちょっと動画を編集する程度ならMacBook Proでも文句の付けようがない。
だが数時間の4K動画を編集したり、さらに高精細の8K動画を編集するとなるとMac Studioがその威力を発揮する。静止画の変換や書き出しも同様で、数百枚ならMacBook Proで十分だが、1000枚を超えてくるとMac Studioが真価を発揮する。つまり、10分が5分に短縮されてもあまり価値を感じないが、2時間が1時間になるとその違いは大きい。
そうした意味でMac Studioはまさにプロやセミプロのクリエーター向けの製品である。Windowsパソコンでは、なかなか対抗できないだろう。
Studio Displayも素晴らしい
M1 Ultraを搭載したMac Studioは49万9800円から(公式オンラインストアでの販売価格、以下同)。Mac Studioは本体だけで販売されているので、キーボードやトラックパッド、マウスなどは別途購入する必要がある。もちろん、ディスプレーも別売だ。
今回新たに発表されたディスプレー「Studio Display」は、5K解像度の27インチモデルだ。画像は非常に美しく、600カンデラ毎平方メートルと非常に明るい。標準は低反射コーティングだが、オプションで反射を抑えた「Nano-textureガラス」を選択できる。また、高さと傾きを調整できるスタンドも選べる。
Studio Displayの価格は19万9800円から。簡単には手を出せないが、画質や質感を考えれば価格以上の価値があることは間違いない。Mac Studioを含め、プロなら元が取れるだろう。


1963年生まれのビジネス書作家。著書は150点以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。