レシピ数は400以上、日本向け料理も用意

ヘスタンキューは21年11月中旬から伊勢丹新宿店(東京・新宿)など百貨店で予約を開始した。12月ごろからは、フェリシダの電子商取引(EC)サイトや百貨店などで販売を始める。IHヒーターと直径28センチメートルのフライパンセット(8万8000円)と、ソースパン(3万3000円)の販売を予定している。

アプリ内にはミシュラン星付き店のシェフらが監修した世界各国の料理400以上のレシピが掲載されており、肉じゃがやハンバーグ、アジフライといった日本でおなじみの料理も40ほど追加される予定だ。「有名シェフや調理学校とコラボレーションしたオリジナルレシピや家庭料理を掲載。今後も2カ月に2~3品程度追加していく予定」(上野氏)

日本料理は煮る、蒸すといった調理過程のため、ふたを使用するレシピが多いが、フライパンのセットにはふたが付いていない。アプリ内のレシピはヘスタンキューが上陸している国々である程度統一されているため、ふたを使わないレシピにアレンジしているという。「各国の郷土料理のようなものの中には、日本で手に入らない食材もある。そういったものは日本でも作れるようアレンジを加えている」(上野氏)

日本でローカライズするに当たり、温度や重量の単位を変更した他、スーパーマーケットで売っている食材の大きさを研究して厚さの設定も変えた。「海外サイズをそのまま日本版に反映してしまうと、厚さが足りないものも出てくる。スーパーマーケットでサーモンを買い集め、厚さの平均を出して、適切に火が通る厚さの範囲を設定した」(同社アドバイザーの高原周右氏)

レシピ以外の機能として、「Mix&Match」と「コントロールモード」がある。Mix&Matchは、肉や魚のレシピとソースを組み合わせる機能だ。メインとなる食材を選ぶと、それに合うソースが表示される。「ステーキソースやネギ塩ソース、デミグラスソースといった日本人になじみのあるソースを10種ほど掲載する予定。さまざまなパターンが作れるので、楽しさも広がる」と高原氏は語る。

コントロールモードでは、37~260度の間で温度設定とタイマー機能が使える。レシピ通りに調理する中で、大まかな火加減が分かれば、このモードを活用してレシピを使わない普段の調理に生かすこともできるだろう。

左から「Mix&Match」と「コントロールモード」

IoTフライパンと和牛のセット販売も計画

最初はIHヒーターとフライパンのセットで、30~50代の主婦やガジェットが好きな人をターゲットに、年間1500台の販売を目指す。「7割のレシピがフライパンで作れるようになっているため、まずはフライパンを中心に売り出す」(上野氏)

長期的にはヘスタンキューを中心としたプラットフォーム化を構想しているという。有名シェフらレシピを持っている人とのコラボを広げる他、ミールキットを販売している企業とのコラボなども考えられる。

21年度内には、ヘスタンキューと和牛をセットにしたクラウドファンディングも予定している。「当社では肉の卸売りもしている。和牛は特に火加減が難しい肉。その肉を最高の状態に焼き上げられるといった価値を、同時に提供できれば」と上野氏は話す。

料理初心者は食材の基礎的な切り方や料理手順を学ぶのに、熟練した人はさらにレパートリーを増やすのに活用できるだろう。レシピはアプリを通して更新されていくため、レパートリーもどんどん広がる。誰でも簡単にレシピの再現性を高められるので、日常使いだけでなく趣味としての活用も期待できそうだ。

(日経クロストレンド 松野紗梨、写真提供 Felicidad)

[日経クロストレンド 2021年11月10日の記事を再構成]

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