ジャンルレスな結集が必要

初上映した富川ファンタスティック国際映画祭(2020年)で、観客から「面白い」「すごく怖かった」と評価を得たことで、「自分たちの苦労が報われたとスタッフ全員感動しました」とチョ監督は振り返る。一方、自らが苦労した韓国における大人向けアニメの立ち位置に変化があることも指摘する。

チョ・ギョンフン監督 1975年生まれ。短編アニメーションを監督後、アニメ制作会社スタジオアニマルを設立。今作が長編商業映画デビュー

「韓国のアニメ市場は日本に比べれば小さいですが、それなりに生態系を持ってお金も動いています。これまでは『ポンポン ポロロ』(Netflixで配信中)に代表される低年齢層向けのアニメが盛んで、ジャンルもターゲットも限られていましたが、ここ4~5年でだいぶ状況は変わっています。国内だけでなく海外でも韓国作品が見られるようになり、大人向けのアニメも作られるようになっています。現在は、基盤が急速に固まりつつある段階。これから発展していく余地もあるでしょう」

実写映画やドラマ、音楽など、韓国コンテンツのグローバル人気は高まる一方だ。そのなかで韓国アニメはいかにして世界に進出していくのか。監督はジャンルを超えた連携が必要だと語る。「これまで韓国のコンテンツは、映画、ドラマ、音楽などが、それぞれのジャンルで国内モデルを作り上げ、国際市場に出ていっていた。今後は各分野の知恵や知見を共有した、新しい取り組みが必要だと考えています。ジャンルの垣根を越えて力を結集することで、よりよい韓国の総合コンテンツビジネスが生まれると思います」

そのなかで『整形水』を日本で公開する機会に恵まれたのは、本当にうれしいと話す。「私自身、宮崎駿監督作品や『AKIRA』など日本アニメが大好きだったので、なおさらです。『整形水』の公開は、今後の韓国アニメ産業にとっても意味のあること。これをきっかけに、韓国アニメに興味を持ってもらえたらうれしいです」

(ライター 数土直志、横田直子)

[日経エンタテインメント! 2021年11月号の記事を再構成]

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