キリン、なぜ「プラズマ乳酸菌」CMでタモリを起用?売れるCMキャラクター探偵団

日経クロストレンド

キリンホールディングス「プラズマ乳酸菌」のCMに登場するタモリ
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キリンホールディングスは独自の「プラズマ乳酸菌」による免疫ケアを啓発するため、タモリを起用したCMの放映を2021年9月に開始した。研究員がプラズマ乳酸菌の特別な働きを説明し、タモリが驚きつつ理解するというストレートなメッセージで他の乳酸菌との差別化を図る。国民的タレントであるタモリの存在にあやかりたいキリン。目指すは「国民的乳酸菌」だ。

ビールの「敵」の研究がメジャーブランド誕生の契機に

研究員とキリンの研究所内の廊下を歩くタモリ。「今日は免疫の維持に役立つプラズマ乳酸菌についてご説明します」と告げられ、タモリは「プラズマっていうのは何かすごそうだね。でも、他の乳酸菌とそんなに違わないんでしょ?」と疑問を口にする。

腸を模倣した透明な管と乳酸菌を表す白と赤のボールの模型やCGを使い、プラズマ乳酸菌の特徴について研究員が説明を始める。「普通の乳酸菌は免疫機能の一部にしか働きかけません」と聞いて驚きつつ、CMの最後には「やるね~、プラズマ乳酸菌」とその効果を認める。

キリングループが35年にわたる免疫研究の中で発見した、免疫の司令塔の一つ「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)」を活性化する乳酸菌が「プラズマ乳酸菌」だ。14年に松坂桃李を起用し、プラズマ乳酸菌研究の成果とそれまでの道のりを伝えるCMを公開。20年8月には、プラズマ乳酸菌を使用した「iMUSE(イミューズ)」ブランドのサプリメントと飲料の5商品が、国内で初めて免疫機能で機能性表示食品として消費者庁に届け出を受理されたことを発表した。

「長年の研究で蓄積してきた科学的エビデンスが評価された」と話すのはキリンビバレッジマーケティング部ブランド担当兼キリンホールディングス ヘルスサイエンス事業部の遠藤楓氏。グループ企業の小岩井乳業(東京・中野)や協和発酵バイオ(東京・千代田)、国内外の大学や研究機関と共同で行ってきた研究活動の信頼性が導いた結果だという。

そもそもキリングループが乳酸菌研究に乗り出したのは「ビールを改良する過程で、乳酸菌がビール醸造に欠かせない酵母のおいしさを損なうことが分かったから」(遠藤氏)。つまりビールの「敵」を研究するのが発端だった。それが、今やグループの重要な柱であるヘルスサイエンス領域を代表する「iMUSEブランド」の誕生につながったのだから、何が功を奏するのか分からない。

プラズマ乳酸菌は免疫の司令塔の一つ、pDC(赤いボールで表現)に働きかける

機能性表示食品の届け出が受理されたのは、新型コロナウイルス禍のまっただ中だった。人々の健康意識がこれまで以上に高まり、免疫機能への関心も大きくなった。この機運を受け、他の乳酸菌と異なり免疫機能を訴求できるiMUSEは躍進。21年1~9月のiMUSEブランド全体の売り上げは前年比約6割も増加した(金額ベース)。23年までに乳酸菌原料の製造拠点である「iMUSE ヘルスサイエンスファクトリー」(埼玉県狭山市)の設備を増強し、同年の「プラズマ乳酸菌」菌体の年間生産能力を、現行の約2倍となる約28トンへと引き上げる予定だ。

また21年9月以降、自社ブランドに限らず他社ともプラズマ乳酸菌を使ったコラボレーションを積極的に展開し、全部で22商品まで機能性表示食品のラインアップを拡大した。その中には「シールド乳酸菌」を自社グループで開発している森永製菓も名を連ねているほどだから、いかにプラズマ乳酸菌が特殊かが分かるだろう。

ラインアップの拡大に併せ、タモリの「プラズマ乳酸菌で免疫ケア」アンバサダー起用と冒頭の新CMが発表された。これまでプラズマ乳酸菌やiMUSEのCMは先述の松坂桃李や、17~19年は柳楽優弥がキャラクターを務めていた。20年は有名タレントを起用せず機能性表示食品であることを訴求した。このタイミングで国民的タレントのタモリを選んだ理由は何だろうか。

2021年9月以降、「プラズマ乳酸菌」を配合した機能性表示食品を全22商品まで拡大。外部パートナー企業とのコラボも含まれる
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