日経ナショナル ジオグラフィック社

Q:なぜ国際協定が必要なのか? すでに多くの国が問題に取り組んでいるのでは?

A:これは地球規模の問題であり、地球規模の解決策が必要だ。毎年約800万トンのプラスチックが海に流れ込み、大移動していることが知られている。ある国が規制しても、その国の海岸に別の国のプラスチックごみが漂着するのは防げない。また、プラスチックごみは国際的に取引されていることも、国際合意が必要な理由だ。そして何より、世界的な基準やポリシーが存在しないことが問題だ。生分解性プラスチックの定義はメーカーによって異なるうえ、どのようなプラスチックがリサイクルの対象になるかもばらばらだ。

Q:プラスチックごみの問題はどれくらい深刻か?

A:現在製造されているプラスチックの40%はパッケージ用で、そのほとんどが開封から数分以内に廃棄される。世界的に見ると、プラスチックのリサイクル率はわずか9%だ。廃棄量、生産量ともに増加している。1950年から20年の間に、化石燃料を原料とするプラスチックの生産量は、年間約200万トンから5億トン強まで増加した。生産量はさらに増加し、50年までに10億トンに達すると予測されている。プラスチックごみの増加を本当の意味で抑制するには、プラスチックの生産量を減らさなければならないという合意が科学者、活動家、選出された役人の間で形成されつつある。業界はこれに反対している。

今回示された枠組みは関係者から広く称賛されている。国際化学工業協会は声明のなかで、「この結果に満足しており、法的拘束力のある条約を全面的に支持します」と述べている。

NPO(非営利組織)エレン・マッカーサー財団の創設者であるエレン・マッカーサー氏は、リユースとリサイクルによってあらゆる廃棄物を削減する「循環経済」の構築を提唱している。マッカーサー氏は強制力のあるこの条約について、「プラスチック汚染の症状だけでなく根本原因」に対処する鍵になると考えている。

3月2日のナイロビで、アンダーセン氏は国連代表団に、条約に向けて前進するという合意に達することは「ほんの数年前まで考えられませんでした。しかし今日、皆さんはプラスチック汚染の流れを変えるため、重要な一歩を踏み出そうとしています」と語りかけた。「一人の人生が始まり、終わるまでの間に、私たちは巨大な問題をつくり出してしまいました。私たちはこれから、プラスチックの間違ったつくり方、使い方を過去のものにしなければなりません」

(文 LAURA PARKER、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2022年3月8日付]