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「プラごみ削減」世界の足並みがそろった歴史的瞬間

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

高さ9メートルの位置にある巨大な蛇口から、大量のプラスチックが吐き出されている。アフリカ、ケニアの国連ナイロビ事務局にあるアート作品だ。

ここナイロビ事務局で2022年3月2日、プラスチックごみの蛇口を閉めるための正式な一歩が踏み出された。175カ国の国連代表団が、プラスチック汚染を抑制するための国際条約に向けた交渉を開始することに合意したのだ。これは、環境関連では15年の「パリ協定」以来、最も重要な合意と評価されている。

22年2月末、決議に先立って合意の枠組みが示された。これが5月に始まる条約交渉のロードマップとなる。国連環境計画(UNEP)事務局長のインガー・アンダーセン氏は代表団に、「これは歴史的な瞬間です」と語りかけた。

海に流れ出すプラスチックごみは40年までに3倍に増えると予測されている。だが、国際合意に向けた取り組みは、スタートラインに立つだけで5年近くを要した。国連の取り組みは決して早いとは言えない。

プラスチックごみの問題はどれほど深刻なのか、なぜ拘束力のある国際条約が必要なのかを説明しよう。

Q:国際条約はプラスチックごみ問題にどんな効き目がある?

A:各国にプラスチックごみの除去を約束させることで、問題の核心に取り組むことができる。例えばパリ協定は各国に温暖化ガスの自発的な排出削減を求めているだけだが、法的拘束力を持つ条約となれば、より強い効果がある。「『パリ・プラス』と言っていいでしょう」と、英国の環境調査エージェンシーで海洋キャンペーンを担当するクリス・ディクソン氏は語る。「この条約があれば、目標達成の志を持ち続けることができます。これは旅の始まりであり、終わりではありません」

Q:条約の合意はいつ?

A:2年以内に合意する計画だというが、これは国連としては驚くべきスピードだ。国連がプラスチックごみ問題の対策を検討し始めたのは17年。19年には、1人当たりのプラスチックごみ排出量が最も多い米国で、当時のトランプ政権が条約に反対し、交渉開始を妨げたと非難された。21年11月、米国は方針を転換し、フランスとともに、法的拘束力のある条約への支持を表明した。今回のアプローチは、わずか3年余りで締結された「水銀に関する水俣条約」をベースにしている。気候変動に関する合意ほど時間はかからないかもしれない。

Q:条約への取り組みが前進したきっかけは?

A:プラスチックごみは近年急激に増えており、世界のあらゆる場所で記録されている。プラスチックの生産量の急増にともない、廃棄物問題の緊急性も高まっている。その結果、世界的な条約を求める声が各方面から聞こえるようになった。米国化学工業協会は19年の時点で法的拘束力を持つ条約に反対していたが、現在は支持に転じている。ペルーとルワンダ、そして日本から2つの案が出され、雪だるま式に支持が拡大した。2月、ナイロビに交渉者が集まったときには、300人以上の科学者、140以上の国、100人近い多国籍企業のリーダーが国際条約への取り組みを公に支持していた。ザ・コカ・コーラ・カンパニー、ペプシコ、ユニリーバなど、プラスチックを最も使用している企業も含まれていた。

Q:なぜ国際協定が必要なのか? すでに多くの国が問題に取り組んでいるのでは?

A:これは地球規模の問題であり、地球規模の解決策が必要だ。毎年約800万トンのプラスチックが海に流れ込み、大移動していることが知られている。ある国が規制しても、その国の海岸に別の国のプラスチックごみが漂着するのは防げない。また、プラスチックごみは国際的に取引されていることも、国際合意が必要な理由だ。そして何より、世界的な基準やポリシーが存在しないことが問題だ。生分解性プラスチックの定義はメーカーによって異なるうえ、どのようなプラスチックがリサイクルの対象になるかもばらばらだ。

Q:プラスチックごみの問題はどれくらい深刻か?

A:現在製造されているプラスチックの40%はパッケージ用で、そのほとんどが開封から数分以内に廃棄される。世界的に見ると、プラスチックのリサイクル率はわずか9%だ。廃棄量、生産量ともに増加している。1950年から20年の間に、化石燃料を原料とするプラスチックの生産量は、年間約200万トンから5億トン強まで増加した。生産量はさらに増加し、50年までに10億トンに達すると予測されている。プラスチックごみの増加を本当の意味で抑制するには、プラスチックの生産量を減らさなければならないという合意が科学者、活動家、選出された役人の間で形成されつつある。業界はこれに反対している。

今回示された枠組みは関係者から広く称賛されている。国際化学工業協会は声明のなかで、「この結果に満足しており、法的拘束力のある条約を全面的に支持します」と述べている。

NPO(非営利組織)エレン・マッカーサー財団の創設者であるエレン・マッカーサー氏は、リユースとリサイクルによってあらゆる廃棄物を削減する「循環経済」の構築を提唱している。マッカーサー氏は強制力のあるこの条約について、「プラスチック汚染の症状だけでなく根本原因」に対処する鍵になると考えている。

3月2日のナイロビで、アンダーセン氏は国連代表団に、条約に向けて前進するという合意に達することは「ほんの数年前まで考えられませんでした。しかし今日、皆さんはプラスチック汚染の流れを変えるため、重要な一歩を踏み出そうとしています」と語りかけた。「一人の人生が始まり、終わるまでの間に、私たちは巨大な問題をつくり出してしまいました。私たちはこれから、プラスチックの間違ったつくり方、使い方を過去のものにしなければなりません」

(文 LAURA PARKER、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2022年3月8日付]

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