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50代は体調の変化や健診結果の悪化に直面する

50代が酒との付き合い方を見直そうとしているのは、健康に対する不安があるからではないかと思う。

もちろん、60代でも健康への不安はあるはずだ。だが、多くの人にとって50代というのは、それまでの人生であまり感じたことのない体調の変化や、健康診断の数値の悪化に直面し、我が身を振り返って、飲酒をはじめとする生活習慣を見直す時期に当たるのであろう。

50代で酒との付き合い方をきちんと見直すことが、その後の人生において末永くおいしい酒を味わえることにつながるのではないだろうか。逆に、若い頃と同じような飲み方を続けてしまうと、何らかの病気を発症し、大好きな酒が飲めなくなるリスクが高まってしまう。

私個人のことを振り返ると、今でこそ酒に関わる仕事をしているが、実は私の両親はともに下戸で、私自身ももともとはそんなに飲めない体質だった。

だが社会人になってからほぼ毎日酒を飲むようになると、日本酒を一升飲めるほどにまでなった。俗に言う「鍛えて強くなった」くちだ。

といっても、記憶をなくしたり、二日酔いになったりするのはざらで、生傷も絶えなかった。そんなひどい飲み方をしていたのに、健康診断の結果は常に良く、体重を気にすることもなかった。20代のうちは。

30代半ばから徐々に体重が増え始め、50代に突入してから体重は人生最高を記録した。なぜか肝臓の数値は相変わらず良かったが、若い頃と同じように飲んだり食べたりしていると、その報いが正直に健康診断の数値に表れるようになり、中性脂肪の値も上昇していった。

そんなとき、新型コロナウイルス感染症対策で緊急事態宣言が発令され、ステイホームを強いられた結果、酒を飲む量が増え、5リットル入りの業務用ウイスキーがあっという間に空になった、というわけだ。しかも、そんな矢先に逆流性食道炎と診断されてもいる。

酒に弱くなり、病気が心配という人は多いが…

酒が好きな人にとって、「一生健康なまま酒を飲みたい」というのは、何よりも願っていることだろう。

だが、一生健康で飲むためには、50代で一度、酒との付き合い方を見直す必要があるのではないかと考えている。

そして、現在はコロナ禍であるために、酒との付き合い方を見直す必要性がより一層増しているのである。

先ほどのアンケートに話を戻すと、「お酒に関連して悩みや困っていることはありますか」という質問に対する回答は、以下のようになった。

「お酒に関連して悩みや困っていることはありますか」(複数回答可)

アンケート実施期間:2021年12月~2022年1月 回答数:1296

「最近、お酒に弱くなった」という答えが最も多く、29.4%。「飲むと、生活習慣病やメタボリックシンドロームのリスクが心配」が22.3%、「飲酒量が増えてしまった」が14.7%、「飲むと、がんなどの病気のリスクが高まるのが心配」が14.0%、「飲酒量を減らしたいのにうまく減らせない」が9.6%だ。

年を取れば年々、酒に弱くなっていくのは、誰しも実感していることだ。生活習慣やがんなどに対する心配もある。だが、それでも飲む量をうまく減らせず、若い頃と同じように飲もうとして二日酔いになり、後悔する……ということを繰り返してしまうわけだ。

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できるだけ正確な知識をもとに飲み方を見直す