象印独自のパック調理機能で2品を同時に調理できる
そして、EL-KA23ならではの特徴が「パック調理」機能。これは市販のジッパー付き食品用保存袋を使って湯煎で調理する方法だ。保存袋が浮かないように、かつ焦げないように固定する専用器具(パックホルダー)が付属する。「たらの煮付け」と「れんこんのきんぴら」のように、同じ調理温度のメニューなら2つのパック調理が同時にできる。またパック調理では、多少設定時間を間違えたとしても、焦げ付きや煮崩れなどの失敗が起こりにくい。煮付けときんぴらの調理時間はそれぞれ20分と25分だったが、この程度の違いなら問題はなかった。身が崩れやすいたらの煮付けもきれいに仕上がり、味の染み方も十分だった。
パック調理でできるのは、付属のレシピ本では10メニューで、同社ウェブサイトにはさらに22メニューが追加されている。低脂肪高たんぱく食として人気のサラダチキンも作れる。



EL-KA23にはもう一つの提案として、「自家製ミールキット」がある。これは味付け肉やカットした野菜をそれぞれ個別にパックに入れて冷凍しておけば、組み合わせによって様々な料理がすぐできるというもの。ただ、こちらは11月時点では用意されているメニューが7種類と物足りない。アイデアはいいので、今後の拡充に期待したいところだ。

メニューの少なさという点では、だし汁などを加えずに食材の水分だけで調理する「無水調理」メニューの少なさも気になった。アクアパッツァやラタトゥイユなど12種類の無水調理料理がレシピサイトに載っているが、よく例に挙がる「無水カレー」などがないのは少し残念だ。
同社では今後のメニュー拡充について、「本当は調理できるメニューのセットなども発売と同時に提案したかったが、今はまだ追いついていない状態。今後レシピを増やしつつ、生活提案や献立提案をしていきたいと考えている」(三嶋氏)と説明する。
以上のように見ていくと、EL-KA23は、調理関連ではかき混ぜ機能と炒め系機能以外でホットクックに大きく劣る点はない。ホットクックにはIoT機能があり、メニューを追加したり、外出先から予約調理の完成時間を変更できたりするが、それほど利用頻度は高くない。約4万円の価格差を考えれば、EL-KA23は高コスパだと言える。
(PC&デジタル家電ライター コヤマタカヒロ)
[日経トレンディ2022年1月号の記事を再構成]