
古代の人々は、スケートの代わりに動物の骨を足に結びつけて、凍った湖を移動した。スキーが広く知られるようになったのは、ノルウェーの探検家が初のグリーンランド横断に成功したことがきっかけだった。初期のスノーボードは「スノーサーフィン」を略して「スナーフィン」と呼ばれていた。
このようにウインタースポーツは、さまざまな発展を遂げて今日の姿となった。
2022年2月4日に中国の北京で開幕した第24回オリンピック冬季競技大会では、選手たちが日々、熱戦を繰り広げている。1924年にフランスのシャモニーで第1回冬季大会が開催されて以来、フィギュアスケート、アイスホッケー、カーリング、クロスカントリースキーなどの競技が行われてきた。
だが、オリンピック冬季競技の多くはさらに起源が古く、厳しい冬を生き抜く古代人の知恵から生まれたものもある。北米の先住民は、雪上で食料を運ぶために簡素なそりを用いていた。ノルウェーに残る石器時代の岩石彫刻には、スキーを履いた狩猟民が描かれている。一方、比較的最近に考案され、ここ数十年で大幅に進化した競技もある。
ここでは、冬季競技で特に人気が高いスノーボード、スキー、そり競技、スケート、カーリングなどの起源について紹介しよう。


スキーの起源は古代にさかのぼる
人類は文明の初期からスキーを使っていた。ノルウェーのロドイにある5000年前の岩石彫刻には、スキーを履いてエルクを追う人々の姿が描かれている。また、ロシアのヴィスでは、紀元前6000年のスキー板が発見されている。しかし、スキー発祥の地については歴史家の間で見解が分かれている。紀元前8000年ごろの中国のアルタイ山脈を起源とする説もある。
しかし、レイモンド・フラワー氏の著書「The History of Skiing and Other Winter Sports(スキーほかウインタースポーツの歴史)」(1976年刊)によれば、現代のスキーは、スカンディナビア地方に起源をたどることができる。そこでは、ノルウェー、フィンランド、スウェーデンの先住民であるサーミの人々を中心に、昔から移動手段などの実用目的でスキーが使用されてきた。北欧神話では、先端が曲がったスキーを履いた冬の神「ウル」をはじめ、山々をスキーで下る英雄や女神の伝説が語り伝えられている。
1850年前後にはノルウェーで公式競技会が開催されるようになり、フラワー氏によれば、1879年には、スウェーデンで初の記録が残る競技会がストックホルム郊外で開かれた。1888年、ノルウェーの探検家、フリチョフ・ナンセンがスキーでグリーンランド横断に挑み、見事成功させた。この偉業を記録した著作の出版によって、スキーが広く知られることになったという見解もある。
スキーはスイスのアルプスに広まり、休暇で訪れる英国人を中心に人気が高まった。その後、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、世界各地でスキークラブが誕生した。年月を経るにつれ、スラローム、ジャンプ、山岳スキーなど、スキーの競技も多様化した。
第2次世界大戦後になると、スキーリゾートが日帰り客も長期滞在客も受け入れられるように進化し、スキーの人気は爆発的に高まった。

