日経クロストレンド

グローバルブランドの知見を生かす

21年10月から販売している同商品の販促を22年から強化するのは、海外に比べてハードセルツァーが定着していない日本に可能性を感じているからだ。

ABIJ マーケティング担当の曽我厚太朗氏によれば、ハードセルツァーは18年ごろから、北米のZ世代やミレニアル世代を中心に愛飲されてきた。健康志向の高まりと商品のヘルシーさがマッチしたこと、炭酸水がすでに若い世代に売れていた土壌があったこと、缶のパッケージのデザイン性の高さなどが、主なヒットの要因だという。

日本でも、21年以降、複数の飲料メーカーがハードセルツァーを販売している。21年3月にはオリオンビールが「DOSEE(ドゥーシー)」を、同年8月はサッポロビールが「サッポロ WATER SOUR」を、同年9月には日本コカ・コーラが「トポチコ ハードセルツァー」を発売。だが、ビールテイスト飲料やサワーなどに比べて定着しているとは言い難い。ABIJは海外でブームとなった状況を踏まえ、グローバルブランドとしての知見を生かして、広く日本の消費者に訴求していく考えだ。

曽我氏は「ABIでは20年1月から、国外でバドワイザーブランドのハードセルツァーを販売しており、他国の市場状況や売り上げ、販売方法などの情報を共有できる。ハードセルツァーというカテゴリーが、海外に比べてまだ浸透していない日本で、新しい市場を開拓していく」と意気込む。

また、「国内外ではここ数年、RTD(レディー・トゥー・ドリンク)カテゴリーの成長率が著しいことも強い追い風」と曽我氏。ABIJにとって、ニュートラは日本で初めてのRTDカテゴリー商品でもある。

30代以降の男女から高評価

ただ、21年10月発売というのは、日本市場においても後発での参入。ハードセルツァーは原材料がシンプルなこともあり、味わいやテイストからは、他社商品との差別化を図りにくい印象だ。ハードセルツァー市場を盛り上げつつ、どう競合と勝負するのか。

これに対し、曽我氏は、原材料や商品の質にこだわったことで、他社とのすみ分けができたと語る。「(ハードセルツァーは)海外で若年層にウケたため、国内でもターゲット層をZ世代に設定しているメーカーは多い。一方で、ニュートラは30代以降の男女から支持が高い。上質なウオッカを使用しているため、健康を意識しつつも、お酒を楽しみたい層に満足してもらえた」

糖質・糖類をなくすと、商品の味やクオリティーはどうしても落ちる。そこでABIJは、健康を意識しながらおいしいお酒も楽しみたい、30代以降の声に応えたという。

原材料のウオッカには、19年に消費者が審査員としてブラインドテイストする国際スピリッツコンペティションで金賞を、17年にはスピリッツ業界から選ばれた専門家が選ぶスピリッツコンペティションで銀賞を獲得した「NUTRL Vodka(ニュートラウオッカ)」を使用。製造過程では、通常のウオッカよりも多い76ステップの蒸留工程で、雑味のないクリアなテイストに仕上がっている。

「上質さと健康さ、両方をかなえる商品は他社にはない」と曽我氏は胸を張る。販売前の市場テストでも、30代以降の男女から好反応を得られた。日本の缶チューハイでは、味の濃いものやアルコール度数の高い商品が多い中、ニュートラのスッキリした風味に新鮮さを感じるユーザーが多かったようだ。缶のデザインも、爽快感やスタイリッシュなイメージが伝わるよう意識した。

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オフィス街でのサンプリングで定着図る