日経クロストレンド

グルメ回転すしの客単価は1500~2000円弱

例えば銚子丸は、一番安い皿が143円。以降198円、275円、330円、462円とすしネタに合わせて値段が上がり、大トロ2貫は638円。100円皿チェーンの客単価が1000円前後であるのに対し、グルメ回転すしの客単価は1500~2000円に迫る水準だ。子連れ世帯や豊富なスイーツメニューを目当てに女子会を開く若い女性にも顧客層を広げた大手チェーンに対して、グルメ回転すしの客層は中高年層が中心。旬の食材に職人がひと手間加えた商品を味わえ、かつ回らない本格高級すし店やフレンチ・イタリアンのディナー業態よりはハードルが低い。そんなポジショニングで、グルメ嗜好の客を呼び込んでいる。

大手100円チェーン店とグルメ回転すしチェーンを比較。グルメ回転すしは高い客単価を取れる魅力の訴求が鍵

一方、郊外エリアに特化したドミナント出店で店舗賃借料や物流費を抑え、埼玉県におけるがってん寿司のように、特定エリアで認知度を上げることで認知獲得のための広告宣伝費を抑えている。このように客単価を上げる一方で販管費を抑えていることが、原価率の抑制と利益の確保につながっている。

グルメ回転すしの魅力は、全国津々浦々に出店する大手チェーンと異なり、それぞれご当地ならではの地域性を発揮している点にある。中でも注目したいのは金沢市だ。総務省「家計調査」で、県庁所在地と政令指定都市計52都市における外食「すし」部門の支出金額ランキングは、金沢市が全国トップで年間2万1000円を超える。ちなみに、回転すしの生命線である皿を運ぶコンベヤーも、金沢市に本社を置く石野製作所(販売は北日本カコー)がトップシェアを持つ。

石川県には人気グルメ回転すしチェーン「金沢まいもん寿司」「もりもり寿し」「すし食いねぇ!」があり、この御三家が集結する金沢市は全国有数の回転すし激戦区になっている。地元住民に人気なのはもちろんのこと、旅行ガイドや情報メディアにも取り上げられることで、旅行客が多く訪れる。15年の北陸新幹線の開通はさらに追い風になった。金沢や能登の近港から仕入れる鮮魚は人気が高く、もりもり寿しの三点盛り(ぼたん海老、ウニ、大とろ)は1400円前後と高価でも注文が相次ぐ。

グルメ回転すしチェーンは大手チェーンと利益構造が違い、差異化ができているとはいえ、足元の勢いはスケールメリットでよいネタを安く提供するようになった大手チェーンにある。一方、グルメ系品質を100円すしで展開しようと、がってん寿司が「ダイマル水産」の屋号で展開した取り組みは、21年春で全店が閉店し、いったん停止している。

11年には各地域のグルメチェーン有志が日本回転寿司協会を設立し、回転寿司マイスター決定戦の開催の他、漁業情報の共有、新メニューの考案、広報・啓発活動などで協同するようになった。大手チェーンとグルメチェーンが双方の良さを生かしながら営業を強化することが、回転すしのみならず、すし市場規模の拡大、すし文化の普及につながっていくだろう。

(日経クロストレンド 小林直樹)

[日経クロストレンド 2021年12月10日の記事を再構成]

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