日経エンタテインメント!

文庫レーベル全体の売り上げが約2倍に

ユーザー巻き込み型企画も好評。21年3月にユーザーから募った「泣けるスターツ出版文庫大賞」の順位発表動画は、2万を超えるいいねが付いた。同年8月には「胸キュンスターツ出版文庫大賞」も開催

このようなアカウント運営を続けてきたことで、「スターツ出版文庫が好き」というユーザーが増加した。他の作品も売れ始めており、『あの花』が話題になった6月以降、20年のスターツ出版文庫全体の売り上げは右肩上がり。21年上期は前年の2倍程度で推移している。

「『あの花』1作のヒットだけでは、こういう現象は起きなかった。スターツ出版文庫自体のコンセプトは『この1冊が、わたしを変える。』というもので、『何度も読み返してほしい』という思いで作っています。では、どのような本を読み返すかというと、『これを読んで昔泣いたな』だとか、『人生観が変わったな』という部分が必要になる。『あの花』は特攻隊も登場し、若い世代は知らなかったことや命の大切さが描かれた作品。繰り返し読んでも泣けるという部分が共感を呼んで売れたのかなと考えています。

TikTokで認知が広がったのは『あの花』がきっかけでしたが、このようなブランディングのもとでトーンを守っているので、どの本を読んでも同じメッセージが込められていると感じてもらえるはず。だからこそ、他の作品にもどんどん伝播し、レーベルを好きと感じていただけるようになったのではと思います」

また同社では、いいねの付いた数でどれだけ部数が伸びるかといった分析も進めているという。

「どの投稿がバズるかどうかという部分は本当に難しく、我々が頑張っても1万いいねがやっとです。ですが、出版社よりもユーザーの方の紹介動画に多くの反響があるほうがいいのかなとも思いますね。今回のヒットで、本が好きな子ってまだまだいるんだと実感ができたんです。本が好きと言う場や話すきっかけがなかったけれど、同じような人がいると分かったときに共感のコメントをしたり、自分のおすすめの本を紹介したりする。TikTokでそんなコミュニケーションをしてくれるのが、出版社としては一番うれしい。そうして、レーベルのファンになっていただけることで、ビジネスとしても広がっていくのかなと考えています」

『TikTok ショート動画革命』
 BGMとして使われた楽曲が相次いでヒットしたのを振り出しに、小説やコスメ、食品・飲料、高級車や高級旅館まで、動画で紹介された商品が次々と人気になり、“TikTok売れ”なる言葉も定着。TikTokは「消費を動かすプラットフォーム」として、最注目のツールとなった。その高い拡散力の源はどこにあるのか? 実際にTikTok発で売れた商品はどんな施策を行ったのか? ヒットを誘うクリエイターたちの動画作りの秘訣は?など、TikTok Japan初の全面協力の下、豊富なケーススタディと関係者インタビューを通じて、“TikTok売れ”の極意を明らかにする。(日経BP/1760円)

TikTok ショート動画革命

著者 : 日経エンタテインメント!
出版 : 日経BP
価格 : 1,760 円(税込み)