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動画のBGM、世界観を伝える重要な要素

ユーザーからのコメントが期待される作品をTikTokにて紹介。ユーザーのコメントにも、いいねやコメントが付いて盛り上がる(左)。宣伝になるような文言は書かないようにしているという(右)

2つ目に気を付けているのは、「売れている」や「●●大賞受賞」といった一般的な宣伝に用いられるような文言を使わないことだ。「他のSNSでは、有名人が薦めるとフォロワーさんが反応するという図式だと思うんです。でも、TikTokはユーザー同士がいいよとおすすめするものがバズっていくので、出版社からの“上から目線”の押し付けはしないようにしています。出版社はやっぱり新刊を売りたいですし、『売れてますよ』と言いたいんですけれど、TikTokのユーザーはそれを見るとむしろ引いてしまう。ですので、『こんな本ありますよ』と簡単にあらすじを伝えて、あとは『みんなの感想待ってます』といった呼びかけをする程度にしています」

3つ目は音楽だ。スターツ出版文庫のTikTokアカウントは、21年時点で入社3年目の男性社員が運用を担当している。動画を投稿する際には、この社員が作品を読んで、その世界観にあった楽曲も選んでいるという。

「彼はもともとTikTokユーザーで、スターツ出版文庫のターゲット層にも近い。また、TikTokを毎日見ているので、そのタイミングでどのような音楽が流行っているのかも分かっているんです。作品の世界観と音楽がマッチしていると、すでに読んでいる人は『これ!』と強く共感してもらえますし、逆にまだ読んでいない人には世界観を想像してもらえる。表紙を映しただけの『あの花』の紹介動画がバズったのも、まさに音楽の効果が大きかったと思います」

このような取り組みが功を奏し、今ではスターツ出版文庫のアカウントでも、いいねが1万を超える投稿も出ている。また、「泣けるスターツ出版文庫大賞」などのユーザー巻き込み型企画も好評だ。「『アトラクトライト』というボカロ楽曲をノベライズした作品を紹介したときには、2万を超えるいいねが付きました。また、10万部級の作品を紹介すると、いいねが多く付く傾向にあります」

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文庫レーベル全体の売り上げが約2倍に