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バルミューダの6万円コーヒーメーカー どこが違う?

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日経トレンディ

在宅勤務の広がりによって、自宅でコーヒーを飲む機会が増えた人は多いのではないだろうか。ちょっと高級なコーヒーメーカーを購入して、よりおいしいコーヒーを毎日飲めるようにすると幸せになれそうだ。

その候補となりそうなコーヒーメーカーをバルミューダが2021年10月7日に発売した。製品名は「BALMUDA The Brew」(以下The Brew)で、同社の製品らしくデザインはとてもシンプルでおしゃれだ。幅140ミリメートルとコンパクトなので、台所や食卓に出しっ放しにしても気にならないだろう。発表後の反響は大きく、21年9月8日の製品発表から約1週間の時点で、想定の約2倍のペースで予約が入っているという。

ただしThe Brewは、同社の直販価格で5万9400円と、一見するととても割高な印象だ。一般的なコーヒーメーカーは、その都度コーヒー豆をひく機能(ミル)を備えた全自動タイプでも2万円前後が主流。The Brewにはミルがなく、粉(レギュラーコーヒー)に湯を注いでコーヒーを抽出するタイプで、他社では1万円以下のことが多い。業務用コーヒーマシンも手掛けるデロンギやJURA Japanなどは、5万円を超える家庭用コーヒーメーカーを販売しているが、それらは全自動式なのはもちろん、ミルクを泡立ててカフェラテも作れるなどの多彩な機能を備えている。ただのドリップ式コーヒーメーカーであるThe Brewに、価格なりの価値はあるのだろうか。

0.2ミリリットル単位で湯量を制御

The Brewが高価なのは、その抽出方式(Clear Brewing Method)が独特なためだ。具体的には、コーヒーのいれ始めから抽出終了まで、緻密な温度制御をしつつ、0.2ミリリットル単位で正確にドリップし、最後に「バイパス注湯」という技術で濃度を調整する。

少し分かりにくいので、コーヒーをいれる手順に従って、使われている技術を説明する。The Brewにコーヒー粉と水をセットしてスタートボタンを押すと、まずサーバーを温めるために100度の高温スチームが噴射される。その後、ゆっくりとお湯の温度を下げながらコーヒー豆を蒸らし、ドリップ工程に進んでいく。

ドリップ工程では、0.2ミリリットル単位でお湯の量を計測しながら、ゆっくりと段階的にお湯を落としていく。The Brewはそのために温度センサーと湯量センサーを搭載しており、「過程ごとに設定した温度のお湯をその都度、瞬間的に沸かすことで、緻密な温度制御を実現している」(バルミューダ マーケティング部プロダクトマーケティングチームの佐藤史織氏)。

通常のコーヒーメーカーは、ボイラーで沸かしたお湯を連続的に注ぐことが多い。対してThe Brewは、温度を変えながら少しずつ断続的に注ぐ。これはどちらかと言えばハンドドリップのいれ方に近い。そしてThe Brewのドリッパーには蓋がないため、コーヒーの粉が蒸らされて膨らみ、抽出が進むところが見える。これもコーヒー好きにはうれしい。ドリップが進むにつれてコーヒーの香りが周囲に広がるのだ。

通常のレギュラーモードで抽出する際には、最後にバイパス注湯の工程が入る。開発を担当した商品設計部ソフトウェア開発チームの太田剛平氏によれば、通常のいれ方ではコーヒーの抽出が終盤になるに従って、渋みや雑味が増える。そこでThe Brewでは、うまみやコクが多く出る前半に凝縮されたコーヒーをまとめて抽出。後半はコーヒーの抽出を止め、第2の抽湯口からコーヒーサーバーにお湯だけを注いで、濃さなどを整える。これにより、力強さと雑味のないクリアな後味の両立を目指している。

従って、The Brewが高価になってしまったのは、スリムなデザインを維持しながら、一般のコーヒーメーカーには搭載しないセンサーや、細かく温度制御するためのヒーターを搭載していったからということになる。

では肝心の味はどうか。The Brewではクリアな後味の「レギュラー」と、ある程度の雑味が出る「ストロング」の2種類の設定が選べる。まずはレギュラーモードで3杯のコーヒーをいれてみた。コーヒー豆は、愛飲しているカルディコーヒーファームのモカブレンド(200グラムで実勢価格718円)を使った。円すい形のペーパーフィルターをドリッパーにセットし、付属の計量スプーンでコーヒーの粉を3杯分入れればよく、操作は簡単だ。時を刻むようなチクタクという音が流れ、約6分40秒で3杯分のレギュラーコーヒーを抽出できた。

The Brewのレギュラーモードでいれたコーヒーはしっかりした風味があり、そして後味が非常にクリアだった。ただ、筆者は比較的濃いコーヒーが好みなので、後味がクリア故にやや物足りなくも感じた。そこで試しにバイパス注湯を行わないストロングモードでもいれてみた。こちらは抽出時間は変わらず、深みが増す印象だ。この他、濃いめに抽出して氷をいれる、「アイス」モードも利用できる。

開発しないとの決定を開発者の熱意が覆す

筆者の好みとは違ったが、後味がクリアなコーヒーメーカーは珍しく、価値があるとは思う。なぜここまで振り切った製品を出せたのか。それは、多数決や専門家の意見ではなく、開発責任者1人で味を設計したからのようだ。

バルミューダが高級オーブントースターを発表して人気メーカーになったのが15年。それから、電気ケトルや、オーブンレンジなど、様々な調理家電を発売してきた。その間も創業者である寺尾玄社長の口から「コーヒーメーカーを開発している」という話は何度か出ていた。

佐藤氏によれば、これまでバルミューダ社内では、数え切れない数のコーヒーメーカー企画が練られ、何度もハードウエア試作まで進んだものの、「安全性やおいしさ、バルミューダが製品化する意味などの条件がそろわず、もうコーヒーメーカーは作らないという結論が一度は出ていた」(佐藤氏)という。

それにもかかわらず、半ば勝手にコーヒーメーカーの研究を進めていたのが先述の太田氏だ。太田氏はもともとコーヒーが趣味で、「SCAJアドバンスド・コーヒーマイスター」の資格も保有。自分で豆を焙煎(ばいせん)するなど、コーヒーに傾倒していたという。そして、ことあるごとに「コーヒーメーカーを作りたい」と訴え、業務時間以外に趣味でコーヒーメーカーの開発を続けていた。The Brewのスッキリとした味わいも、太田氏がハンドドリップでいれる際にベストだと感じていた味を再現したものとなる。社内でのアンケートや試飲は行っているが、基本的には太田氏の抽出方法を元に調整してきた。

そしてほぼ現在のThe Brewに近い、スリムなデザインの試作機ができたところで、味とデザインの両面をプレゼンして寺尾社長を説得し、製品化の許可を得たという。

実際に使ってみた感想としては、The Brewはバルミューダらしい洗練されたデザインと、シンプルな使い勝手、そしてコーヒーのおいしさを高い次元で兼ね備えている。家電のコーヒーメーカーとしてみると高すぎるが、コーヒーという嗜好品を楽しむツールと考えれば、デザイン性やプロダクトとしての精緻さ、ドリップしているところを見る楽しさなど魅力十分。コーヒー愛好家の心をつかむ可能性はありそうだ。

(PC&デジタル家電ライター コヤマタカヒロ、写真提供 バルミューダ)

[日経トレンディ2021年11月号の記事を再構成]

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