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猫を量産したい…立体造形作家の夢かなえたネコカップ

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NIKKEI STYLE

日経クロストレンド

雑貨などを販売するアッシュコンセプト(東京・台東)が開発し、2019年7月から「+d(プラスディー)」ブランドで販売している「ネコカップ」(2970円)が人気だ。猫のシルエットにデザインしたプラスチックのカップで、そのままオブジェとして飾ってもいいし、「型」として中に砂や土を詰め込んで型抜きすれば猫の造形を作り出すこともできる。

21年6月からは食品衛生に配慮した素材に仕様変更。ご飯やゼリーなどを詰め込んで使えば、猫のシルエットをした料理やスイーツなどが出来上がる。猫好きにはたまらない、いわば「無限ネコ製造機」としてアピールしている。

20年6月には、より小さいタイプの「コネコカップ」(1870円)も発売。茶わん1杯分のご飯が入る小型サイズで、こちらも食品衛生に配慮した素材になっており、料理やスイーツ作りに使いやすい。

どちらも「ビオベージュ」「ビオホワイト」「ビオブラック」の3色展開。発売以来、シリーズ累計で約1万5000個を売り上げた。21年はSNS(交流サイト)で話題を伸ばし、同年8月だけでも20年全体を上回る個数を販売したという。

同商品をデザインしたのは、立体造形家・雑貨コレクターである森井ユカ氏。大の猫好きで、猫に関わる仕事がしたいと考えていた。10年ほど前「猫の動画やニュースだけを配信する放送局をつくる」というクラウドファンディングを立ち上げたが、残念ながら目標達成できなかった。そこで「造形作家として、自分にできることから始めよう」と考えて思いついたのが「ネコカップ」のアイデアだったという。

「私にはもともと『猫を量産したい』という野望があった。生活の中に猫の気配があるだけで、幸せな気持ちになれると考えていたからだ。私のような猫好きには、散歩中に猫の姿を見かけただけで1日がハッピーになるという人も多いだろう。猫を量産するためにどうすればいいか考えたとき、砂や土を型抜きして猫の形にすることを思いついた。そのアイデアを大切に熟成させ、自分の気持ちが高まったタイミングでプロトタイプを製作した。それをアッシュコンセプトに持って行った」(森井氏)

アッシュコンセプトの名児耶秀美社長は、同商品のプロトタイプを見たときに思わず笑ってしまったという。「森井氏は『家の中に生きた猫がいるとかわいすぎて仕事にならない』と言って、自分では猫を飼わないくらいの大の猫好きだ。そこで生活の中で猫の存在を感じ、なおかつ仕事の妨げにならないものを作った。

ネコカップのプロトタイプでは、まるで生きているかのような猫のシルエットが見事に再現されていて、猫を愛する森井氏だからこそできる造形だと感じた。当初、森井氏は道具として使用することのみを考えていたようだが、『これならオブジェでも通用する』と提案した」(名児耶氏)

プロトタイプでは、シンプルな造形でありながらも猫の空気感をしっかりと感じさせるようにこだわった。一目見たときに「猫だ」と分かることが重要だった。森井氏は別バージョンも製作するつもりだったが、プロトタイプを見た名児耶氏が「森井氏の作りたいという衝動が詰まっている」と評価し、そのまま製品化に踏み切ることにした。ただし、耳の際の角度の調節といった微調整は相当数、繰り返した。

素材にもこだわり、竹やホタテの貝殻などの有機物を含んだバイオマスプラスチックを使用した。海や砂浜で遊ぶのにもふさわしい、ざらっとした質感の味わい深いテクスチャーができた。

予想を超えた使い方が広がる

ネコカップは料理やスイーツ作りにも使われるようになったが、発売当時は砂や土を詰め込む用途だけを想定していた。しかし発売後、SNSにはネコカップで作った料理やスイーツの画像が投稿されるようになった。ネコカップで作ったメニューを提供するレストランも出てきた。急いで食品衛生の規格検査に出すと、ホタテの貝殻が原因でチェックを通らなかった。体に害があるわけではないが、SNSで投稿を見つけるたびに、「食品に使用するのは非推奨」といった情報発信を行っていたという。

しかし食品に使用する需要があることは分かったので、食品衛生に対応した素材に仕様を変更することにした。リニューアル品は内側にカトラリーのマークを刻印することで食品に使えることを明示した。

ユーザーの動きを通じて森井氏が感じたのが、「ネコカップの可能性が、受け手の想像力を通じて広がっていく」ということだ。当初、森井氏はネコカップを遊びの道具として考えていたが、名児耶氏の言葉がきっかけでオブジェとしても考えるようになった。オブジェとしてのネコカップは、事情があって猫が飼えない人や、ペットロスの人の心にも寄り添ってくれた。「飼い猫を亡くした寂しさに、ネコカップが寄り添ってくれている」というメッセージを送ってくれた人もいた。ネコカップを料理に使うという発想も森井氏の中にはなかった。

そこでアッシュコンセプトはネコカップに関連したイベントを企画。20年8月には参加型SNSイベント「#コネコカップチャレンジ2020」を開催した。SNSを通じて、コネコカップを使用した画像を募集するという企画だ。その後も21年2月と8月に開催し、8月のイベントではネコカップも対象に含め、イベント名を「#ネコカップチャレンジ2021」に改めた。

「森井ユカ賞」と、アッシュコンセプトのショップの「KONCENT賞」の2種類があり、それぞれネコカップやコネコカップを使った料理の画像を募集する「ネコ料理部門」、食品以外の素材で猫を造形する「ネコ造形部門」、ネコカップやコネコカップと本物の猫を一緒に撮影する「ねこもいっしょ部門」の3部門を用意した。1回目のイベントと比較し、約3倍の投稿(約370件)があった。ネコカップやコネコカップで作ったゼリーやプリン、氷の画像など、夏らしく涼やかな作品が集まった。ネコカップの中に猫の抜け毛を詰めて固めることで人形を作るなど、森井氏やアッシュコンセプトの想像を超えた作品も多かった。

ネコカップは、人間同士のコミュニケーションツールとしても使えるという。森井氏はネコカップと一緒に国内や海外を旅行し、現地のビーチや雪原で猫を作ることが多い。すると「何をしているの?」と声を掛けられることがあった。言葉が通じない海外でも、一緒に猫を作るうちに打ち解け、楽しい時間を過ごせたという。

森井氏は、これからも猫に関連した商品を作り続けたいと話す。「現在は、自分の中にある新たなアイデアを熟成中で、22年の6月ごろを目安に発表したい」(森井氏)

(フリーライター 近藤彩音、写真提供 アッシュコンセプト)

[日経クロストレンド 2021年10月8日の記事を再構成]

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