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がん患者に寄り添う 「職場復帰」を運動でサポート

がんになっても働き続けたい~ルネサンス運動支援センター(下)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

がんになった人が元気に仕事をするためには、体力の回復や体の不調の改善は重要だ。以前の記事で「どんな『がん』でもリハビリ大事 体の機能低下を防ぐ」でがんのリハビリテーションの大切さをお伝えしたが、大阪にあるルネサンス運動支援センターでは、大阪国際がんセンター認定がん専門運動指導士が、運動を通じてがん患者の職場復帰やQOL(生活の質)の改善を支えている。

自身もがんになったライター、福島恵美が、がんになっても希望を持って働き続けるためのヒントを探るシリーズ。前編「がん治療後の不調を改善 支えるのは専門運動指導士」では、ルネサンス運動支援センターの責任者、沖本大さんにがん患者の体をサポートする取り組みを伺った。後編では、運動支援センターを利用して職場復帰した乳がん患者Tさんと、担当指導員の金田知彦さんに実際の支援内容を伺った。

がん治療後の不調の改善や筋力・体力をつけるために

――高校教員をされているTさん(40代女性)は乳がんの通院治療中で、現在、ルネサンス運動支援センターで個別指導を受けられていると聞きました。まず、運動支援センターに入会されたきっかけを教えてください。

Tさん 私は2021年4月に、検診で右胸に乳がんがあることが分かりました。かかりつけ医から大阪国際がんセンターを紹介してもらい、その年の夏に入院して手術を受けました。私の場合は手術と同時に、背中の組織を用いて乳房の再建をしているので、背中の突っ張りや肩の痛み、右指の動きづらさ、握力低下などの症状が出たのです。入院中はリハビリテーションを受けていましたが、退院後は「運動してくださいね」と言われるくらいで、具体的にどのように運動していいのか分かりませんでした。がんセンターに診察で来たときに、同じ敷地にある運動支援センターが気になり、パンフレットを見て問い合わせました。がんの知識を持つ専門のスタッフがいらっしゃるということで、体の困り事を相談できるかなと思い1回体験から始め、21年8月に入会しました。

――具体的には、どのような運動支援を受けられているのですか。

Tさん 最初に体の状態や体力、握力などを確認してもらい、突っ張っていた背中を動かしたり、指の運動をしたり、筋力・体力をつけるなどの運動プログラムを作ってもらいました。トレーニングが始まる前に担当の金田さんが「体の調子はどうですか」と毎回聞いてくださったり、前回からの体の変化もきちんと見ていただけたりするのでとても安心です。体調はその日その日で変わるので、体の状態に合わせて運動内容、運動量を調整してくださるのがいいなと思っています。トレーニングの最後には家で簡単にできるストレッチを教わり、お風呂上がりなどに体を伸ばしています。運動支援センターには入会当初から現在まで、月に平均6回のペースで通っています。

運動開始から1カ月でこわばっていた背中が動くように

――運動することでの体の変化は、いつ頃から感じ始めましたか。

Tさん 運動を始めて1カ月たったくらいで、こわばっていた背中の筋肉や皮膚が動くようになりました。当初はまるで背中が一枚板みたいな状態で、動かすことも怖くて…。運動していくうちに硬くなっていた背中の皮膚が軟らかくなっていったので、回数をこなすことが大事だと思いました。体には日々、いろいろな変化が起き、一つのことがよくなると、今度は違うところに痛みが出たりするので、そこを改善するように指導してもらっています。

金田さん Tさんはトレーニング開始から1カ月くらいで、だいぶ体の状態がよくなってきました。ただ、一つの不調が改善されるとできることが増えて、新たな不調が出てきたりします。例えば、退院すると生活環境は病院から家の中に変わりますし、職場復帰すれば家から職場へと行動範囲も広がることで、新しい不調や痛みが起きやすくなるのです。その原因を一つひとつ聞いて見つけ、改善できるように運動支援しています。

がんの場合は診断されてから怒涛(どとう)の勢いで治療が始まり、気持ちの整理がつかないまま退院することになりがちです。そのため、頭では運動しなければいけないと分かっていても体が不調だったり、気持ちが乗らなかったりすることが起こりやすいです。僕たちはそのつらい気持ちを受け止め、寄り添いながら二人三脚で運動支援することを心がけています。

――運動する患者さんの担当指導員は、変わらないということですね。

金田さん 担当指導員の出勤状況で一時的に代行することはありますが、基本的に担当者は同じです。設定した目標を達成して「卒業」まで見させていただきます。一定期間で運動を終える方だけでなく、ずっと継続する方が安心ということで2019年の開業時から現在まで通っている方もいらっしゃいます。

――Tさんが目標にされているゴールは何でしょうか。

Tさん 私は手術後に休職していましたが、22年1月から時短勤務で職場復帰しています。背中のこわばりが解消されて以降、姿勢がよくなり、体も動きやすくなってきました。まだ右手の指に力が入らなかったり、腕が上げづらかったりするなどの課題はありますが、しっかりとフルタイムで働くことをゴールに運動を続けたいです。今は時短勤務なのでラッシュ時間に通勤するわけではないですが、それでも通勤やパソコン作業など、何をするのにも体力が必要だと感じます。当初、職場復帰は4月になると考えていたので、予定より早く復帰できたのは運動支援センターでの運動の効果かなと思っています。

できることが増えるのが運動継続のモチベーションに

――がんの治療と仕事の両立について、職場は理解を示されていますか。

Tさん 職場には、以前にがんになったり、難病を抱えたりしている教員がいるので、がんを治療しながら働くことへの理解はあります。手の指に力が入らないのでパワーポイントなどICTの力を借り、板書の量を減らして授業していますが「大変なことがあったら手伝うからね」「必要な時は休んでいいよ」と言われます。一緒に働いている人たちの理解があるので、時短勤務でも気兼ねせずに安心して働けています。私は幸い正社員で雇用され、福利厚生面でも恵まれているので術後は休職できましたが、通院中の乳がん患者さんの中には制度がなくてパートを休めず、しんどくても仕事に行かなければいけないという方もいらっしゃいました。今、正規、非正規の働き方が問題になっていますが、病気になったときの制度がきちんと整っていることは大切だと思います。

――Tさんは職場復帰を果たし、今も運動を続けておられます。継続して頑張れるモチベーションになっているものは何でしょうか。

Tさん 私には妹がいて彼女に2人の息子がいます。体力があり余っている元気なおいっ子2人と、今までと同じように一緒に遊びたいという思いや、一時期は体がつらくてできなかった飼い犬の朝夕の散歩を、毎日きちんと行けるようになったことですね。運動することで体が動くようになり、元の生活に戻りつつあることを感じられるのが、継続のモチベーションになっています。私は料理が好きで、最初は包丁をうまく握ることもできませんでしたが、少しずつ握れるようにもなりました。小さなことですが、がんになってできなかったことが、運動によって少しずつできるようになるのを実感しています。

(ライター 福島恵美)

金田知彦さん
ルネサンス運動支援センター指導員。大阪国際がんセンター認定がん専門運動指導士。柔道整復師。鍼灸(しんきゅう)師。メンタル心理カウンセラー。上級心理カウンセラー。トレーニング系の資格NSCA-CSCS、NSCA-CPTを持つ。スポーツクラブや病院、介護施設、鍼灸整骨院で整形疾患・脳神経疾患など様々な疾患を持つ人をサポート。医療系短期大学やトレーナー育成機関の講師として運動指導者、治療家、医療・介護従事者の育成に携わる。ルネサンス運動支援センターの立ち上げに参画。がんやがん治療による副作用で悩む多くのがんサバイバーの心身の不調の改善・解消を、運動によってサポートしている。

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