日経クロストレンド

約8年越しでできた体験型施設

そもそもバーミキュラがバーミキュラ ビレッジやバーミキュラ ハウスのような体験型施設を作るに至ったのはなぜか。その理由の1つとして、愛知ドビーの土方智晴副社長は、ブランド開設当初に感じた“悔しさ”を口にした。

0.01ミリ単位で精度を追求し、密閉性を高めることで、素材本来のおいしさを引き出すべく同社が生み出したのが、バーミキュラのオーブンポットラウンドで、その品質には絶大な自信を持っている。しかし発売当初は、工作精度に基づく鍋としての独創性やそのメリットをなかなか理解してもらえなかった。「バーミキュラを使ってもらえば、作った料理を食べてもらえば、その良さはすぐ分かってもらえるのに、と思っていた」と土方副社長。製品を体験できる場を作ることは、約8年前からの悲願だったのだそうだ。

今回、名古屋市に次いで東京にもオープンしたのは、「東京にも体験型施設を作ってほしい」という声があったからだという。バーミキュラ ビレッジは地域を活性化させるという目的もあり、創業の地である名古屋市の、中川運河沿いに作ったが、東京に開設するに当たっては、銀座や表参道など、いくつかの候補地を検討した。その中から代官山を選んだのは、「街の雰囲気が決め手だった」と土方副社長は話す。

「代官山は、長い歴史の中、住人みんなで街を作り上げてきたことを強く感じる。緑も多く、渋谷のような大きな街からすぐの距離でありながら、穏やかな雰囲気が気に入った」

アパレル店だった建物に大規模なリノベーションを敢行。土方副社長自身、「こんな土地に建つ建物としては、かなりもったいないフロアの使い方」と表現するように、バーミキュラ ハウスの1階フロア中央には地下に続く吹き抜けと階段を新造した。

1階のフロア中央にある階段を下ると地下のデリカテッセンへ

実際に施設を訪れてみると、この大胆な決断の狙いがよく分かる。製品と、その製品でできる料理の味がスムーズにつながるようになっているのだ。1階のフラッグシップショップやデモンストレーションキッチン、クックブックライブラリーなどで、来店客が同製品の魅力と料理への関心を喚起されたら、フロア中央の階段から、すぐに地下1階のデリカテッセンに降りられる。そこで、公式レシピブックに掲載された料理を目にし、実際に味わうことができるという仕掛けだ。階段部分が吹き抜けになっていることで、地下1階であるにもかかわらず、デリカテッセンや料理教室が明るく開放感のあるスペースになっているのも効果的だ。

デリカテッセンでは、ランチタイム、カフェタイム、ナイトタイムの3つの時間帯に分け、バーミキュラの公式レシピに掲載されている料理を提供する。ランチは、総菜などを自由に組みあわせることができるセットメニューなどを用意。2022年2月以降はテークアウトも開始予定

このように1階と地下1階がフロア中央の階段で密に接続されている一方、2階のレストランは、施設外の階段から直接、入店する構造になっている。つまり、3つあるフロアのうち、2階だけが独立している。

2階のレストランでもバーミキュラ製品を使ったメニューを味わえるが、こちらはプロの技術をふんだんに駆使した料理ばかり。「料理はあまり得意じゃないという人でも、普段のメニューをおいしく調理できる一方、プロが使えば、他の調理器具とは異なる広がりを持たせられることを知ってもらいたい」(土方副社長)

1階と地下は「ユーザーから見たバーミキュラの魅力」を、2階のレストランは「プロの手が実現するより深いバーミキュラの魅力」を来店客にアピールする狙いがある。

地下1階には、料理教室用のスペースもある。バーミキュラを使う基本的な料理から、無水調理のカレーなどの人気メニューまで、幅広いプログラムを用意する予定
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内覧会ではバーミキュラを使った料理も披露