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カフェインの働きをうまく生かすには

その働きは、やはりカフェインが「脳に到達する」ことが関わっているという。

「カフェインは脳のアデノシン受容体と結合することで交感神経を活性化し、アドレナリンの分泌を促進します。このとき注意力や意欲も向上し、疲労感が軽減され、競技の持続、パフォーマンス向上につながる可能性が示唆されています」(森さん)

アスリートではない私たちがカフェインの働きをうまく生かすにはどうすればいいのだろう。「カフェインには脂質利用を促進する働きもあるので ウオーキングの30分前くらいにコーヒーを飲んでおくと、カフェインの働きによって脂肪燃焼を高める働きが期待できそうです」(森さん)

一方で、森さんは注意も促す。「カフェインが作用する脳のアデノシン受容体は、本来は疲労感がたまったことを体に伝える働きを持っています。そのため、アスリートがカフェイン摂取により疲労をごまかして過度に運動をしてしまうと、故障リスクが上がったり翌日の疲労感が高くなったりする可能性があるため、さらに検証をする必要があるでしょう」(森さん)

森さんは、コロナ禍で運動不足になりがちな今こそ、コーヒーをうまく運動のモチベーション維持に活用することを勧める。「カフェインは意欲を向上するアドレナリンの分泌を促進します。このとき運動をプラスすると、脳や全身の血流も良くなり、脂肪燃焼にもプラスに働き、心地よい疲労感で睡眠の質も良くなっていきます」(森さん)

とはいえ、運動は面倒と思う人も少なくないだろう。まずは手軽に始められるウオーキングくらいから入るといいかもしれない。

「ウオーキングが面倒という人は、近所で新しい店を1つ見つけよう、と遊びの要素をプラスしたり、誰かを誘っておしゃべりしながら歩いたりすると継続しやすくなると思います」と森さんはアドバイスする。

◇   ◇   ◇

ここまでカフェインと運動パフォーマンスの関係について見てきたが、いかがだっただろうか。朝のコーヒーだけでなく、日中の気分転換や運動のモチベーション維持にコーヒーをうまく利用しながら、やる気や活動性を高めていこう。

(ライター 柳本操)

森 健一さん
武蔵大学基礎研究センター准教授。奈良教育大学教育学部卒業。筑波大学大学院修士課程体育研究科、博士課程人間総合科学研究科修了。武蔵大学大学院でコーチング学の学位を取得後、現職。トレーニング科学と陸上競技のコーチングを専門とし、中学生の身体の発達とパフォーマンスについても研究。日本陸上競技連盟・科学委員会、同指導者養成委員会委員。

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